29歳でアシスタントPdMから“大規模プロダクトの司令塔”へ進んだ理由
29歳の主人公は、SaaSプロダクトベンチャーでアシスタントプロダクトマネージャーとして、BtoB向けツールの機能改善や開発ディレクションを担当していました。ただ、プロダクト規模が小さく、「もっと多くのユーザーに影響を与えるサービスに関わりたい」という思いが強くなっていきます。そこで挑戦したのが、大手ITプラットフォーム企業のプロダクトマネージャー職。厳しい選考を経て内定を獲得し、年収も530万から920万へ。プロダクトの将来像を描き、数百万人規模のユーザー体験に責任を持つ立場へとステップアップした成功事例です。
人物プロフィール
年齢:29歳
性別:男性
転職前:SaaSプロダクトベンチャー/アシスタントプロダクトマネージャー
転職後:大手ITプラットフォーム企業/プロダクトマネージャー
転職前年収:530万
転職後年収:920万
転職動機・テーマ:大規模プロダクトで価値設計に挑戦したい。
ざっくりまとめると
・SaaSベンチャーでアシスタントPdM
・機能改善中心で成長実感が薄れる
・大手ITのPdM職へ挑戦し内定
・年収530万→920万
・大規模プロダクトのロードマップに関与
転職前のキャリアと悩み
「機能改善の延長線上だけでは、いつか行き詰まるかもしれない」
私はSaaSプロダクトベンチャーで、アシスタントプロダクトマネージャーとして働いていました。営業やCSから上がってくる要望を整理し、エンジニアと優先順位を決めて機能改善を進めていくのが主な役割です。ユーザーの声を起点にプロダクトを良くしていくプロセスそのものは好きでしたが、次第に「目の前の改善リクエストをさばく」ことが仕事の大半を占めるようになっていきました。
プロダクトの世界観や中長期のロードマップを描く機会は限られ、「PdMの仕事をしているというよりも、改善チケットの交通整理をしているだけではないか」という違和感が大きくなっていきました。また、ユーザー数もまだ数千〜数万規模で、意思決定の重さや責任感という意味でも物足りなさを感じていました。自分のキャリアをこのまま狭い世界の中だけで完結させて良いのか──そんなモヤモヤが消えなくなっていました。
転職を意識したきっかけ
大規模プロダクトのPdMと話して、「見ている時間軸の違い」を痛感
転機になったのは、コミュニティイベントで大手ITプラットフォーム企業のプロダクトマネージャーと話したことでした。その方は、数百万人が使うサービスの中期ロードマップを担当しており、「3年後にどういう提供価値を実現したいか」から逆算して、半年・四半期・スプリント単位へと分解していました。
一方の私はと言えば、1〜2スプリント先の開発スケジュールを追うだけで精一杯で、「そもそもこのプロダクトをどこに連れて行きたいのか」という視点が薄かったと気づかされました。同時に、「自分もいつかはあのレベルでプロダクトの未来を描けるようになりたい」という憧れも強くなりました。
その数ヶ月後、会社としても開発リソースが逼迫し、短期的な売上に直結しない打ち手は後回しになる雰囲気が強まりました。「このままだと、プロダクトの将来像を考えるどころか、改善すら守りに入ってしまうのではないか」。そう感じたタイミングで、私は本気で転職を検討し始めました。
転職活動内容
「仕様を決めた人」ではなく「価値を設計した人」として経歴を書き換える
最初に取り組んだのは、職務経歴書の視点を変えることでした。それまでは「どの機能をリリースしたか」を中心に書いていましたが、PdMポジションに応募するにあたって、
・どんなユーザー課題を見つけたのか
・それに対してどんな打ち手を検討したのか(ボツ案も含めて)
・なぜその解決策を選び、どんな指標で効果検証を行ったのか
といったストーリーが伝わるように再構成しました。
エージェントとの面談では、「アシスタントPdMとしてどこまで意思決定に関わっていたのか」を細かく深掘りされ、その回答をもとに、面接での伝え方を一緒に整理していきました。一方、ダイレクトスカウト経由で接点を持った大手IT企業のPdMとは、カジュアル面談の場で徹底的に「現場のリアル」を聞き出しました。どんな粒度でKPIを見ているのか、エンジニアとの関わり方、失敗したリリースの話など、具体的なイメージが持てたことは大きかったです。
また、実務の補完として、オンラインのPdM講座やプロダクトケーススタディにも取り組み、「この画面のこの変更は、どんな仮説とKPIが裏側にあるのか」を考える癖をつけていきました。
意思決定のポイント/自分の市場価値
「ユーザー課題→仮説→検証」の筋が通っていたことが評価された
複数の企業から選考の機会をいただきましたが、最終的に入社を決めたのは大手ITプラットフォーム企業のプロダクトマネージャー職でした。面接では、これまで担当してきた機能改善の中から2〜3件をピックアップし、ユーザー課題の捉え方から、打ち手の比較検討、実装後の振り返りまでを一つのストーリーとして説明しました。
特に評価されたのは、「そもそもなぜこの課題を解く必要があるのか」「他の案と何を比較してその仕様に決めたのか」といった問いに対して、感覚ではなく自分なりの仮説とデータをもとに筋道を立てて答えられたことだと言われました。また、アシスタントというポジションでありながら、営業やCS、エンジニアとの間に立って小さな意思決定を繰り返してきた経験も、PdMとしての素養として評価してもらえました。
オファー年収は920万円。数百万人規模のユーザーを抱えるサービスに関わりながら、プロダクトの中長期ロードマップ策定にも携われる環境であることが、入社を決めた一番の理由でした。
内定・転職後の変化
「一つのボタン変更」が何万件もの行動変化につながる世界
入社後は、既存サービスの中核機能の一部領域を任されることになりました。A/Bテスト一つ取っても、対象ユーザー数や影響額の桁がこれまでとはまったく違います。画面上の小さなボタン配置の変更が、数万件単位のコンバージョン増減につながることもあり、意思決定の重さを日々感じています。
一方で、大企業ならではの調整の多さや、セキュリティ・法務観点の制約など、ベンチャー時代には意識しなくてよかったポイントも増えました。スピード感という意味ではもどかしさを感じる場面もありますが、その分「なぜこの順番で進めるのか」「どんなリスクがあるのか」を整理する力は格段に鍛えられていると感じます。
何より、ユーザーインタビューやログ分析を通じて得た示唆が、スプリント計画やロードマップに反映されていくプロセスは、PdMとしてのやりがいそのものです。将来的には、担当領域を超えてサービス全体の戦略を描けるプロダクトリーダーを目指しています。
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