31歳、医療ベンチャーから外資メディカルへ跳躍した理由
31歳の主人公は、医療ヘルスケア系ベンチャーで営業リーダーとして新規開拓から既存フォローまで幅広く担当していました。裁量は大きい一方で、組織や評価の仕組みは整っておらず、「このままここだけの経験値で30代を過ごして良いのか」という不安を強く感じるようになります。そんな中で意識し始めたのが、業界専門性と待遇の両方を高められる外資メディカル大手へのキャリアチェンジでした。ベンチャーで培ったスピード感と顧客折衝力を武器に、いかにして選考を突破し、年収520万から900万へとステップアップしたのか。本記事では、環境を変えてキャリアの土台を作り直したリアルなプロセスをお伝えします。
人物プロフィール
年齢:31歳
性別:男性
転職前:医療ヘルスケア系ベンチャー/営業リーダー
転職後:外資系メディカル大手/アカウントマネージャー
転職前年収:520万
転職後年収:900万
転職動機・テーマ:裁量を持てる環境で、専門性と顧客価値を両立できるキャリアを築きたい。
ざっくりまとめると
・医療ヘルスケア系ベンチャーで営業リーダーとして売上を牽引
・属人的な組織と曖昧な評価制度に限界を感じ、30代のキャリアを再設計
・業界専門性を深めつつ待遇も高められる外資メディカル大手に挑戦
・31歳でベンチャー営業リーダーから外資アカウントマネージャーへ
・年収520万→900万へアップし、30代で年収1000万超が見えるキャリアラインに乗った成功事例
転職前のキャリアと悩み
「環境が変われば、もっと伸びられるはず」という違和感
新卒で入社したのは、医療ヘルスケア領域の小さなベンチャー企業でした。就活時は深く企業研究をすることもなく、インターンで声をかけてもらった流れでなんとなく入社を決めてしまった、というのが正直なところです。入社後は医療機関向けのサービス提案を行う営業として経験を積み、数年後には小さなチームのリーダーも任されるようになりました。数字を追うことも、メンバーを巻き込んで案件を前に進めることも嫌いではありませんでした。
ただ、会社の仕組みは良くも悪くもベンチャーらしく、評価制度は曖昧で、売上を上げても年収にはあまり反映されませんでした。オペレーションも属人的で、個人の踏ん張りでなんとかしている状態が常態化していました。20代のうちはそれでも勢いで乗り切れていましたが、30代に入り、同世代の友人が外資や大手で着実にキャリアを積んでいる話を聞くたび、「自分だけがローカルルールの世界に閉じていないか」という焦りが強くなっていきました。
この先、結婚や住宅購入といったライフイベントも控える中で、「この会社で何年働いても年収レンジは大きく変わらないのではないか」「専門性も“うちの会社では通用するやり方”に偏ってしまうのではないか」という不安が頭から離れなくなっていきました。
転職を意識したきっかけ
“専門性×待遇”を両立している同期の姿に衝撃を受けた
転職を本格的に意識するきっかけになったのは、大学時代の友人と久々に会ったときのことです。彼は大手製薬メーカーに勤めており、30歳にして年収が900万近くになっていること、担当領域の専門知識を磨きながら、医師や病院経営者と中長期で関係性を作っていることをさらりと話してくれました。同じ営業職でも、選んだ業界と会社によってここまでキャリアの景色が違うのかと、かなりの衝撃を受けました。
詳しく話を聞く中で、外資系メディカル企業や製薬メーカーは、業界の専門性が重視される一方で、成果に対する待遇や評価の仕組みが整っていることを知りました。ベンチャーで鍛えられた新規開拓力や、医療現場との折衝経験があれば、決して門前払いされる世界ではないことも分かり、「自分も環境を変えればもっと伸びられるのでは」という思いが現実味を帯びてきました。
その頃ちょうど、社内では先行き不透明な新規事業にリソースが割かれ始めており、本来注力すべき既存事業のサポートが手薄になっていくことへの違和感も重なっていました。「この会社の事情に自分のキャリアを縛られるのではなく、自分で選べる立場になりたい」。そう強く思ったタイミングで、本気で転職活動を始める決意を固めました。
転職活動内容
勢い任せではなく、“戦略的に”市場価値を確認してから動いた
最初に取り組んだのは、自分の経験と強みを客観的に棚卸しすることでした。新規・既存それぞれでどれくらいの売上を作ってきたのか、担当エリアのシェアをどこまで伸ばしたのか、どのような仮説を立てて活動計画を組んでいたのか。感覚的な表現ではなく、できるだけ数字とプロセスで説明できるように紙に書き出していきました。
そのうえで、医療・ヘルスケア領域に強い転職エージェントに登録し、現在の市場で自分の経歴がどう評価されるのかを率直に聞きました。エージェントからは「医療業界の営業経験」「医師・医療機関との折衝」「小さな組織でのリーダー経験」という3点はプラスになる一方、「英語力」と「製品知識」は外資メディカルの中途採用ではまだ十分とは言えない、とフィードバックをもらいました。
そこで、英語についてはビジネスメールと簡単な電話対応ができるレベルまで短期集中で学習し、製品知識や市場動向については業界レポートや学会情報を取り寄せてインプットを強化しました。応募ルートとしては、エージェント経由の非公開求人を軸にしつつ、いくつかの外資企業にはダイレクトスカウトや公式サイトからも直接応募しました。面接に向けては、エージェントと模擬面接を繰り返し、「なぜベンチャーから外資なのか」「なぜこのタイミングなのか」といった核心的な質問に対して、自分の言葉で一貫したストーリーを話せるよう準備しました。
意思決定のポイント/自分の市場価値
“再現性のある営業プロセス”と“医療現場の理解”が評価された
最終的に内定を得たのは、医療機器・診断薬を扱う外資系メディカル大手のアカウントマネージャー職でした。選考過程では、これまでの売上実績だけではなく、「どのような仮説のもとにターゲットを設定し」「どの順番で関係構築を進め」「どのような情報を集めて提案に落とし込んだか」といったプロセス面をかなり細かく聞かれました。
ベンチャー時代に、限られたリソースの中でエリア戦略を考え、訪問の優先順位を決めて行動していたこと。医師だけでなく事務方や看護部門とも地道に関係を築き、院内の意思決定構造を理解したうえで提案を組み立てていたこと。こうした経験は、外資メディカルのアカウントマネージャーに求められる素養とかなり重なると評価してもらえました。
オファー年収は900万円。インセンティブの設計や昇給の仕組みも透明で、成果に応じて年収1000万以上を狙えるラインに乗れること、そして世界的にもシェアの高い製品を扱えることが、入社を決めた大きな理由でした。一方で、同じような経歴でも、IT系やWebマーケ系の企業からはそこまで強い反応がなかったことから、自分の市場価値は「医療×営業×関係構築」にあると改めて理解することができました。
内定・転職後の変化
働く環境が変わるだけで、“キャリアの見え方”が大きく変わった
転職後は、大型病院や基幹病院を中心とした担当エリアを持ち、医師や診療部門長、事務長など複数のステークホルダーと中長期で関係構築をしながら、自社製品の導入・切り替え提案を行っています。扱う商材の専門性が高く、日々の勉強は欠かせませんが、その分、医療現場の課題に対してより深く踏み込んだ提案ができるようになったことにやりがいを感じています。
ポジティブな変化としては、年収が520万から900万に上がったことで、将来設計に安心感が生まれたこと、勤務時間や休日が比較的安定し、心身ともに余裕ができたことが大きいです。一方で、グローバル企業ならではの英語資料の多さや、本社方針との整合性を取りながら提案を組み立てる難しさなど、新たなハードルもあります。それでも総合的には、「もっと早くこうした環境に身を置いていれば」と思うことの方が多いくらいです。
現在は、担当エリアでのシェア拡大だけでなく、将来的にプロダクトマネジメントや営業マネージャーとして組織をリードするポジションも視野に入れながら、自分の専門性とキャリアの幅を同時に広げていきたいと考えています。
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