29歳でCSから外資人事コンサルへ挑戦し専門性を獲得
HR人物図鑑がお届けする今回の転職ストーリーは、29歳で“プレイヤー中心のCS職”から“上流の組織変革コンサル”へキャリアチェンジした女性のご紹介です。ベンチャーのHR系SaaS企業で顧客支援に奔走しながらも、次第に「もっと本質的な組織課題に向き合いたい」という気持ちが強くなり、未経験から外資人事コンサルへの挑戦を決意。入念なケース対策と情報収集を経て、戦略〜実行まで担えるシニアコンサルタントとして内定を獲得しました。年収は520万から780万へアップ。長期的に価値が高まる専門性と報酬レンジを手に入れ、30代のキャリア基盤を大きく前進させたリアルな転職プロセスを紹介します。
人物プロフィール
年齢：29歳
性別：女性
転職前：HR系SaaSベンチャー／カスタマーサクセス担当
転職後：外資系人事コンサルティングファーム／人事・組織変革コンサルタント（シニアコンサルタント）
転職前年収：520万
転職後年収：780万
転職動機・テーマ：プレイヤー中心のCS職から、より上流の人事・組織課題に向き合うプロフェッショナルとしてキャリアを築きたい／戦略～実行まで伴走する立場でクライアントに価値提供したい／30代以降も通用する専門性と報酬レンジを手に入れたい
ざっくりまとめると
・HR系SaaSベンチャーでCSとして顧客対応・運用支援を担当
・業務は好きだったが、上流の組織課題への関与が限られ、専門性の伸び悩みを感じていた
・29歳のうちに「専門性×市場価値の高い職種」に転じたいという焦りが強まる
・情報収集の中で人事・組織変革コンサルのキャリアに可能性を感じる
・未経験枠でも応募可能な外資コンサルのポジションに複数通過
・業務理解とケース対策を徹底し、シニアコンサルタントとして内定
・年収520万 → 780万へアップ
・長期的な成長性・報酬レンジ・専門性の蓄積ができる環境に移り、キャリアの基盤が安定
転職前のキャリアと悩み
【成長しているはずなのに、未来が見えない】
HR系SaaSベンチャーでカスタマーサクセスとして働き始めてから、私は“忙しさ”と“やりがい”の間を行き来しながら、がむしゃらに日々を過ごしていました。顧客のオンボーディング支援や活用提案、トラブル対応など、任される業務は多岐にわたり、手応えを感じる瞬間も確かにありました。ただ、仕事に慣れていくほど「このままプレイヤーとして消耗していくのでは？」という漠然とした不安が強くなっていきました。
特に気になっていたのは、自分が関われる領域が“運用支援中心”であるということです。顧客が抱える組織課題の本質を理解し、改善策を設計したいのに、実際は導入後のフォローや日々の問い合わせ対応が中心。領域としては好きなのに、上流へ踏み込めない構造的な限界を感じていました。
周囲は忙しさを理由に深い議論ができず、組織も属人化しており、キャリアパスも不透明。成果が評価される仕組みも曖昧で、「3年後、私はどんな仕事をしているんだろう…」と考えた瞬間に胸がざわつきました。
一方で、転職市場を調べると、人事領域は変化が大きく、専門性を持ったプロフェッショナルの価値が上がり続けていることを知りました。その中でも、人事・組織変革コンサルタントは“上流から組織を動かす”という、私が本来求めていた役割にぴったりでした。しかし同時に「未経験で本当に通用するのか？」という強い不安もあり、簡単に踏み出すことができませんでした。
ただ、現状を続けた先の未来と、挑戦した先の未来を比較したとき、心のどこかで答えは決まっていたように思います。「このままで終わりたくない」という感情が、少しずつ私を動かし始めていました。
転職を意識したきっかけ
【“このままじゃ変われない”と気づいた日】
転職を強く意識し始めたのは、ある顧客とのミーティングがきっかけでした。導入支援が一通り落ち着いた後、顧客の人事責任者から「結局、我々は何を変えれば組織は良くなるのか？」と問われたとき、私は即答できませんでした。わかっているつもりで、実は“運用レベルの支援”しかできていなかった——その事実に気づいた瞬間でした。
私はプロダクトの活用支援やFAQ対応、改善提案は得意でしたが、組織の構造、マネジメント課題、人材戦略といった「本質的な問い」に答える力が圧倒的に不足していると痛感しました。それは、業務の性質上どうしても“下流寄り”になってしまう環境にも原因があり、自分の努力だけでは埋められないギャップだと気づいたのです。
ちょうどその頃、同年代の友人がコンサルティングファームに転職し、上流のプロジェクトに関わりながら専門性を磨いている話を聞きました。私よりも経験が浅かった彼女が戦略プロジェクトを任され、年収も大きく伸びていたことに驚きつつ、羨ましさよりも“危機感”の方が強く残りました。
「私、このまま30歳を迎えても良いのだろうか？」
そこから私は情報収集を始めました。人事領域の市場動向、キャリアの伸び代、転職成功事例…。調べるほど、外資系の人事・組織コンサルは“未経験でも挑戦できる”“実力がつけば評価される”という環境であることを知り、挑戦したい気持ちが徐々に確固たるものになっていきました。
最終的な後押しとなったのは、上司との1on1です。将来のキャリアについて相談したところ、「会社として上流コンサルのような役割を担えるポジションはまだ用意できない」と言われました。つまり、待っていても環境が変わることはない——その瞬間に、私はようやく覚悟を決めました。
「動くなら、今しかない。」
気づけば、私は履歴書のファイル名を「Ver1」として保存していました。そこから転職活動が本格的に始まりました。
転職活動内容
【“勝負できる強み”をつくるために動き続けた】
転職活動の初動として、私はまず「自分がなぜコンサルに挑戦したいのか？」を徹底的に言語化するところから始めました。やみくもに応募しても、志望動機が浅ければ面接で必ず見抜かれる——そう感じていたからです。ノートに“現職でできていること／できていないこと”“将来どんな役割を担いたいか”“なぜコンサルの人事領域なのか”を毎晩書き出し、ようやく筋の通ったストーリーが形になっていきました。
次に取り組んだのは、自分の強みと弱みの棚卸しです。特に意識したのは、現職で磨いてきた「顧客折衝」「課題整理」「プロダクト理解力」「業務フロー整備」というスキルが、コンサルのどの場面で活かせるのかを紐づけることでした。未経験者の転職で重要なのは“抽象度を上げてスキルを再定義すること”——それを理解してから、私の応募書類は一気に通過率が上がりました。
活動チャネルは3つを併用しました。
1つ目は エージェント経由。職務経歴書のブラッシュアップ、ケース面接の対策、業界理解の補助など、未経験者の私にはありがたいサポートが多く、特にCV推敲は非常に役立ちました。
2つ目は ダイレクトスカウト。外資系や成長中のコンサル企業から直接スカウトをもらえるため、面接への到達速度が早く、企業の求める人物像を把握するのに適していました。
3つ目は 求人サイトでの自主応募。情報の幅が広がり、業界全体の傾向をつかむのに良いと感じました。
面接対策では、ケース面接とロジカル面接を重点的に練習しました。オンラインで模擬ケースを受けたり、フレームワークを使った問題整理を毎日繰り返す中で、思考の深さと速度が少しずつ上がっていくのを実感しました。何度も落ちて心が折れそうになりましたが、フィードバックをもとに改善し続けた結果、徐々に面接の通過率が上がっていきました。
気づけば、未経験枠としては上出来と言われるほどの企業数で最終選考へ進み、自分の中でも「確実に成長している」という手応えが生まれていました。
意思決定のポイント／自分の市場価値
【“自分が最も伸びる場所”を基準に決めた】
最終的に私は3社の最終選考まで進みました。いずれも人事・組織領域を専門とするコンサルティングファームで、企業規模や文化は大きく異なっていました。意思決定で重視したのは、「どこで最も専門性と市場価値を高められるか」という一点でした。
まず、選考を通じて明確にわかったのは、私の市場価値が相対的に高く評価された領域は“HRテック×組織改善”をテーマとするポジションであるということです。現職でのSaaSプロダクト理解、課題ヒアリング、運用設計の経験が、そのまま組織課題の分析や施策立案の基礎として評価されました。逆に、戦略色の強い経営コンサルやファイナンス中心の領域は、未経験者の競争が激しく、書類段階での落選率が高いことも実感しました。
最終的に内定をもらった企業の中で、最も惹かれたのが 外資系人事コンサルティングファーム でした。理由は3つあります。
① 一気通貫で“戦略〜実行”まで担えるプロジェクト体制
他社は調査・分析中心の業務に寄りがちでしたが、この企業はクライアントと長期的に伴走し、制度設計・運用定着まで関われる点が魅力でした。
② 未経験者でも成果を出せる育成体制
ケースレビューやメンター制度が整っており、入社3年でシニアコンサルからマネージャーに昇格する社員も多く、自分の成長曲線がイメージしやすい環境でした。
③ 評価制度と報酬が透明で、努力が正しく反映される
成果に対する報酬レンジが明確で、マネージャー昇格後は年収1000万台が現実的になる点も、長期的なキャリア設計に大きなプラスでした。
最終選考では、面接官の言葉が決め手になりました。
「あなたはCSではなく、人事領域のプロとして大きく伸びる可能性がある」
この一言で、挑戦への迷いが完全に消えました。
こうして私は、年収520万から780万へと大きくステップアップし、専門性を軸にキャリアを積み上げられる環境を選びました。「この選択は間違っていなかった」と、今では胸を張って言える意思決定でした。
内定・転職後の変化
【“仕事の景色が変わる”とはこういうことだった】
外資系人事コンサルファームに入社して数ヶ月。まず実感したのは、「関わるテーマの抽象度が一気に上がった」ということでした。それまでの私は、顧客企業の課題を“プロダクト活用の枠内”で捉えることがほとんどでしたが、今は組織の根本構造や人材戦略そのものをゼロから見直す役割を担っています。
プロジェクトでは、制度設計や人事戦略、組織変革ロードマップの策定など、明らかに責任範囲が広くなり、クライアントの経営層と議論する機会も増えました。“伴走者”として企業の未来を支える感覚は、以前の仕事では得られなかった大きなやりがいです。
一方で、良いことばかりではありません。
外資コンサルは成果主義が徹底されているため、アウトプットの質もスピードも非常に高い基準が求められます。最初の頃は、資料の精度や論点の深さが足りず、何度も差し戻されて悔しい思いをしました。また、プロジェクトが重なる時期はタスク量が増え、業務時間が長くなることもあります。忙しさの波は確かにありますが、それでも「成長実感がある」という一点で、乗り越えられる場面が多いと感じています。
転職して良かったと感じるのは、明らかに専門性が積み上がっている実感があることです。フレームワーク、調査設計、制度の構造理解、組織課題の抽象化など、毎週のように新しい学びがあり、仕事をするほど“市場価値が上がっている”感覚があります。
さらに、年収は520万から780万へアップし、努力に対する対価が明確に感じられるのも大きなモチベーションになりました。周囲には優秀なメンバーが多く、自分も早くそのレベルに追いつきたいと自然に思える環境です。
今後挑戦したいのは、“人事制度だけ”などテーマを限定するのではなく、事業戦略と組織戦略を横断して扱えるコンサルタントになることです。将来的にはプロジェクトリードを担い、クライアントの経営の意思決定に直接貢献できるような存在になりたいと考えています。
転職してようやく、「これが自分の進みたかった道だ」と心から思えるようになりました。
メッセージと総括
【“早く動いた人からキャリアは変わる”】
人事系SaaSベンチャーで働きながら、「このままでは専門性が積み上がらない」「30代を迎えたときに武器がないかもしれない」という不安を抱えていた私にとって、外資系人事コンサルへの挑戦は大きな賭けでした。それでも振り返ってみると、あのタイミングで動き出したことが、キャリアの流れを大きく変えたと実感しています。
まず伝えたいのは、未経験でも挑戦できる環境は確実に存在するということです。特に人事・組織領域は変化のスピードが速く、若手が経験を積めば一気に市場価値が高まる世界でもあります。「私は実務経験が浅いから」と諦める必要はありません。
一方で、転職方法の選び方も非常に重要です。
私は エージェント・ダイレクトリクルーティング・自主応募 の3つを使い分けましたが、それぞれにメリットがあります。
エージェントが合う人
書類や面接の壁打ちをしたい
自分の強みや方向性を整理するサポートが欲しい
未経験職種に挑戦するための戦略を一緒に立てたい
エージェントは情報量と添削精度が高く、“転職活動の軸を固める”のに向いています。
ダイレクトリクルーティングが合う人
自分の経歴を企業がどう判断するか知りたい
応募から面接までのスピード感を重視したい
コンサルや外資系など、スカウト経由で有利な業界を狙いたい
スカウト文面から“企業がどの経験を評価しているか”が分かるため、自己分析にも役立ちました。
どちらが正解ということはなく、自分の状況に合わせて併用することが最適解だと思います。
最後に、もし今のあなたが「このままではまずいかもしれない」と少しでも感じているなら、まずは情報収集だけでも動いてみてほしいです。キャリアは、悩んでいる時間よりも、動いた時間の方が確実に価値を生みます。私もあの一歩がなければ、今の自分にはたどり着けなかったはずです。
未来を変えるためのスイッチは、いつも“最初の小さな行動”です。
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