35才で外資FASからスタートアップCFOへ挑戦した理由

今回の人物は35歳の女性。外資系監査法人でFASとして複数のDDやPMIに携わっていた彼女は、企業の変化を“外側から見守るだけ”という立場に限界を感じていました。そんな中、N−3フェーズのSaaSスタートアップから、副社長兼CFOのオファーを受けます。年収は下がる一方、生株1%とSO3%を含むリターン設計、そして“会社を大きくする当事者”としての役割に魅力を感じ、IPOを目指す挑戦に踏み出しました。

人物プロフィール

年齢:35歳
性別:女性
転職前:外資系監査法人/FAS(財務DD・PMI)
転職後:SaaSスタートアップ/副社長兼CFO
転職前年収:1000万
転職後年収:840万
転職動機・テーマ:“守りの財務”ではなく“未来をつくる財務”へ。IPO準備にも裁量を持って関わりたい

ざっくりまとめると

・外資FASからN−3フェーズのSaaSスタートアップCFOへ
・1000万→840万(生株1%+SO3%)
・外資では企業の変化を“外から見るだけ”で物足りなさを感じていた
・スタートアップでは資金調達・管理体制構築・IPO準備まで全権
・数字で会社をつくる実践的な経営に挑戦

転職前のキャリアと悩み

“外から支える財務”に限界。会社の未来を自分の手でつくりたい
外資系監査法人でFASとして働き、財務DD・PMI・事業計画策定支援など多くの案件に携わりました。実績も評価も順調でしたが、心のどこかに常に引っかかりがありました。

それは、「企業の変化の瞬間を見届けても、当事者になれない」という点です。

DDで問題を指摘しても、改善するのはクライアント側。
事業計画をつくっても、実行に関わるのは経営陣。
私は“変革の触媒”ではあっても、事業を動かす当事者ではありませんでした。

35歳を前に、「このまま“外側のプロ”でキャリアを終えていいのか」と考えるようになりました。
もっと深く、会社の未来そのものを数字でつくる側に回りたい。
その思いが強くなっていきました。

転職を意識したきっかけ

“CFOは共同創業者と同じ扱いにしたい”というCEOの言葉
転機となったのは、SaaSスタートアップのCEOから届いたメッセージでした。

「CFOを共同創業者と同じ扱いで迎えたい」
「資金調達・予実・管理体制すべてを任せたい」

この言葉に、胸が熱くなる感覚がありました。

初回のミーティングでは、次の点が強く印象に残りました。
・事業計画と資金調達が完全に連動している
・CFOが“事業づくりの中心”に位置づけられている
・生株1%とSO3%という明確なリターン設計
・N−3フェーズで管理体制が未整備だからこそ裁量が大きい

外資で感じていた物足りなさをすべて埋める環境が、そこにはありました。

転職活動内容

FASの経験を“経営財務の言語”に翻訳し、CFOとしての準備を進めた
私はまず、自分のFAS経験を“スタートアップで使える経営財務”として再整理しました。

【FASで培った強み】
・財務DDによるリスク洗い出し
・PMIによる組織・事業統合の知見
・バリュエーションと資金調達実務
・財務三表の高速モデリング

【CFOとして求められる領域】
・予実管理と事業計画の精度向上
・シリーズB/Cの資金調達リード
・内部統制・管理体制の構築
・経営会議での意思決定支援と説明責任

私はこの差分を埋めるため、過去のプロジェクト成果を“会社を前に進めたエピソード”として語れるようサマリ化しました。

さらに、投資家面談のロールプレイや、スタートアップCFOの事例研究を行い、経営ポジションに必要な思考方法と意思決定の型を磨きました。

意思決定のポイント/自分の市場価値

意思決定の軸は“財務が事業を動かす組織”であるか
複数の企業からオファーを受けましたが、最終的にこのスタートアップを選んだ理由は明確でした。

1. CFOが経営の中心に位置づけられ、事業の未来を数字でつくれること
2. シリーズB/Cの調達〜IPO準備まで全工程をリードできること
3. 生株+SOの透明性が高く、リスクとリターンのバランスが取れていたこと

大手や外資のCFOポジションは、実態が“管理の延長”の場合も多く、求めていた裁量とは異なりました。

一方、このSaaSスタートアップでは、財務が事業を前に進める最重要機能とされており、私の経験を最大限活かせると確信しました。

内定・転職後の変化

“数字で会社を前に進める”というCFOの醍醐味
入社後は、事業計画の再構築、半年以内のシリーズB調達、管理部門の立ち上げ、KPIダッシュボードの作成、取締役会資料の刷新など、財務全体をリードしています。

特に、資金調達が成功し、事業計画と採用計画が連動して動き出した瞬間は、“数字で会社の未来をつくった”という実感がありました。

もちろん課題は多く、制度も未整備ですが、意思決定までの距離が近く、事業が前に進むスピードは外資と比較になりません。

IPOを見据え、内部統制と管理体制を整備しつつ、財務戦略で会社を伸ばすことが現在のミッションです。

メッセージと総括

“守りの財務から攻めの経営財務へ”挑戦したい人へ
外資FASは経験値もブランドも強い一方で、事業を前に進める役割は限定的です。

スタートアップCFOは、資金調達・事業計画・管理体制・IPO準備など、会社の未来を数字でつくる仕事です。

エージェントは条件整理とリスク説明に、スカウトは経営陣の価値観理解に役立ちます。
「外から支える財務から、未来をつくる財務へ」
そう感じている人には、CFOは最適なキャリアだと強く思います。

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