30才でメガベンチャー採用担当からスタートアップHRBPへ挑戦

主人公は30歳、メガベンチャー企業で中途採用担当としてキャリアを築いてきましたが、採用人数の目標は達成しているのに「組織が良くなっている実感が薄い」ことに悩んでいました。採用した後のオンボーディングや評価、組織開発にはほとんど関われない役割に限界を感じる中、SaaSスタートアップからHRBPポジションのオファーが届きます。事業部長と並走しながら、採用・評価・組織開発を一気通貫で担うポジション。年収は780万+SOへと上がりつつ、責任も裁量も大きくなる環境に飛び込んだ転職ストーリーです。

人物プロフィール

年齢:30歳
性別:女性
転職前:国内メガベンチャー/中途採用担当
転職後:SaaSスタートアップ/HRBP(人事ビジネスパートナー)
転職前年収:580万
転職後年収:780万
転職動機・テーマ:採用だけでなく、組織開発や評価制度まで一気通貫で関わりたい

ざっくりまとめると

・メガベンチャーの中途採用担当→SaaSスタートアップHRBP
・580万→780万+ストックオプション
・「採用して終わり」の役割に限界を感じ、組織全体に関わる人事を志向
・事業部長と並走しながら採用・評価・組織開発を担うポジションへ転身
・急成長フェーズの人と組織の課題に真正面から向き合う日々

転職前のキャリアと悩み

「採用して終わり」の役割に、じわじわと違和感が大きくなっていった
前職では、メガベンチャー企業の中途採用担当として、主にビジネス職の採用を担当していました。年間数十名規模の採用を回し、スカウト文面の改善や母集団形成の工夫など、自分なりに成果も出していました。

ただ、仕事に慣れてきたタイミングで、ふとした疑問が生まれました。「採用目標は達成しているのに、組織が働きやすくなっている実感があまりない」という感覚です。

現場からは「入社後のオンボーディングがうまくいかない」「評価の基準が分かりづらい」といった声が上がっていましたが、私の役割はあくまで採用まで。オンボーディングの設計や評価制度の見直しは別チームの管轄で、自分から踏み込める余地は限られていました。

採用人数というKPI自体はこなしている。けれど、「採用した人が活躍し続ける仕組み」までは関われていない。人事として本当に価値を出したいのは後者なのではないか、というモヤモヤが大きくなっていきました。

転職を意識したきっかけ

事業部長と“人と組織の課題”を一緒に解くHRBPという選択肢
転機は、SaaSスタートアップから届いたダイレクトスカウトでした。最初は「よくある採用担当ポジションだろう」と軽い気持ちで話を聞いたのですが、実際のポジションは想像していたものと大きく違いました。

提示されたのは「HRBP(人事ビジネスパートナー)」という役割。
・事業部長と一緒に採用計画を立てる
・オンボーディング〜評価〜配置転換の設計に関わる
・サーベイ結果を基に組織開発施策を企画・実行する

といった、採用以外の人事領域にも深く入っていくポジションでした。

面談の中で印象的だったのは、「採用した瞬間ではなく、入社1〜2年後に“採ってよかった”と言える状態を一緒につくりたい」というフレーズです。前職で感じていたモヤモヤを、そのまま言語化されたように感じました。

この時、「採用担当」ではなく「事業と組織の両方を見るHRBP」というキャリアの選択肢が、初めて自分の中で現実味を帯びてきました。

転職活動内容

採用実績を“事業と組織へのインパクト”として語れるように組み替えた
転職活動ではまず、自分のこれまでの経験を「何人採ったか」ではなく、「採用を通じて事業や組織にどんな変化を起こせたか」という視点で棚卸ししました。

【採用担当としてやってきたこと】
・スカウト文面やチャネルの改善
・採用フローの見直しと歩留まり改善
・現場との要件すり合わせと求人票のブラッシュアップ

これらを、HRBPとして求められる役割にどう接続できるかを考えました。

たとえば、
「採用要件を見直すことで、入社後3カ月以内の離職率を◯%改善した」
「現場マネジャーと面談フローを設計し直し、採用〜オンボーディングまでのギャップを減らした」

といった形で、「事業や組織へのインパクト」として語れるように実績を組み替えていきました。

また、スタートアップ側との面接では、採用の話だけでなく、「オンボーディングの設計をどう改善できそうか」「サーベイ結果をどう読み解き、施策に落とし込むか」といったテーマでもディスカッションできるよう、事前に書籍や他社事例をインプットして臨みました。

意思決定のポイント/自分の市場価値

決め手は“採用だけでなく組織開発まで任される範囲の広さ”
いくつかの企業からオファーをいただきましたが、その中で今の会社を選んだ理由は明確でした。

1つ目は、採用だけでなく、評価・等級・オンボーディング・組織開発にまで一気通貫で関わる前提になっていたことです。
2つ目は、事業部長とHRBPがペアで成果責任を持つという考え方が組織に根付いていたこと。
3つ目は、CEOが「人と組織の課題が最優先の経営課題だ」と明言しており、人事が本気で求められていると感じられたことでした。

他に検討していた大手企業の人事ポジションは、採用と労務など機能ごとの分業が徹底されており、役割範囲が限定的でした。

「人と組織の課題に、事業のパートナーとして向き合えるかどうか」
この軸で比較した結果、SaaSスタートアップのHRBPとして飛び込む決断をしました。

内定・転職後の変化

「採用した瞬間」ではなく「活躍し続ける状態」まで責任を持つ手応え
入社後は、担当事業部の採用計画の策定から、選考フロー設計、オンボーディングプログラムの見直し、サーベイ結果を踏まえた組織課題の抽出と施策立案まで、幅広い領域を担当しています。

特に印象的だったのは、入社後3カ月で退職してしまうケースが多かったポジションに対して、要件定義とオンボーディングを見直した結果、半年〜1年と定着するメンバーが増えてきたことです。

「採って終わり」ではなく、「入社後も活躍し続けてもらうには何が必要か」を事業部長と一緒に考え、施策を打ち、それが数字や現場の声として返ってくる。このサイクルを回せていることが、前職との一番大きな違いだと感じています。

一方で、急成長フェーズならではの混乱や、制度が追いつかない中でのオペレーションの歪みなど、課題も多いです。それでも、「人と組織の課題に真正面から向き合っている」という実感が、今の自分のモチベーションになっています。

メッセージと総括

採用だけでなく“組織全体に効く人事”をやりたい人にはHRBPが合う
採用担当としてキャリアを積んでいると、「もっとその先まで関わりたい」と感じるタイミングが必ず来ると思います。私にとって、その答えがHRBPというキャリアでした。

エージェント経由の求人では、ポジション名はHRBPでも実態が採用専任というケースも少なくありません。ダイレクトスカウトで経営層や人事責任者と直接話をすることで、「どこまで任されるのか」「事業部長との関わり方はどうか」といったリアルな情報を得られたのは大きかったです。

採用の延長線ではなく、「人と組織を通じて事業を前に進めたい」と感じている人には、スタートアップのHRBPという選択肢は、想像以上にフィットする可能性があると思います。

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