38歳CDの転職事例/AIプロダクトBrand Strategy Leadへ/年収900万→1100万

38歳、外資広告代理店でクリエイティブディレクターとして数多くのブランド案件を手掛けてきた彼は、生成AIによるコピー生成やデザイン自動化の台頭により、これまで積み重ねてきたクリエイティブスキルの優位性が揺らぎ始めていると実感していました。特に若手クリエイターがAIを使いこなすことで短期間に多様なアウトプットを生み出す場面を目にし、「経験よりもAI活用力が勝る時代が来る」と強い危機感を抱いたといいます。一方で、AIプロダクト企業では、プロダクトにブランド価値を与え、市場で独自のポジションを築ける人材が不足していました。そこで彼は、外資広告代理店で培ったブランド戦略の知見をAI領域に応用し、AIプロダクト企業のBrand Strategy Leadとして新たなキャリアを歩む決断をしました。

人物プロフィール

年齢:38歳
性別:男性
転職前:外資広告代理店/クリエイティブディレクター
転職後:AIプロダクト企業/Brand Strategy Lead
転職前年収:900万
転職後年収:1100万+SO
転職動機:生成AIの進化によりクリエイティブ業務の一部が自動化され始め、経験値の優位性が薄れる危機感から、AIを活用する側ではなくAIプロダクトのブランド価値を創る領域へキャリアを転換した

ざっくりまとめると

・外資広告代理店CD→AIプロダクトBrand Strategy Leadへ
・生成AIによりコピー・デザイン領域が自動化され危機感
・900万→1100万+SO、ブランド戦略×AIの成長領域へ移行
・AIプロダクトの市場定位・ブランド戦略を統括する役割
・“AIに奪われる側”から“AIの価値を創る側”への転身

転職前のキャリアと悩み

AIが“経験の価値”を揺るがす瞬間を目の当たりにした
外資広告代理店でクリエイティブディレクターとして働いていた私は、ここ数年のAI生成技術の進化を間近で感じていました。コピーの生成、ビジュアル案の大量生成、広告素材のパターン展開など、かつては人間の経験や感性が不可欠だった領域が、AIの登場で短時間かつ高精度に再現され始めたのです。若手がAIツールを巧みに使いこなし、短期間で競争力のあるクリエイティブ案を提示してくる場面が増え、「経験値に依存したスキルはこれから淘汰される」という現実を突きつけられました。

一方で、ブランド全体の方向性や、どの市場でどう認知されるべきかといった“上流の設計”は、まだAIだけでは担えません。とはいえ、その領域に自分が本気でシフトしていかない限り、いずれ自分の役割も曖昧になっていくのではないかという危機感が、日々大きくなっていきました。

転職を意識したきっかけ

AIプロダクトの“ブランド不足”に、キャリアのチャンスを見た
転機になったのは、あるAIプロダクト企業のキャンペーン案件に関わったことでした。技術自体は非常に優れているのに、市場に対してどの課題を解決するプロダクトなのか、どんな思想で開発されているのかといったメッセージがほとんど伝わっていなかったのです。ユーザーから見れば、「似たようなAIサービスがたくさんある中の1つ」にしか映らない状況でした。

“AI時代だからこそ、ブランドの役割はむしろ重要になる”――そう感じた私は、自分のキャリアを「広告主の一部を担当する側」から「プロダクトそのもののブランドを育てる側」へとシフトすることを意識し始めました。ちょうど同じ時期に、知人経由でAIプロダクト企業のBrand Strategyポジションの話を耳にし、真剣に転職を検討するようになりました。

転職活動内容

ブランド戦略×AIビジネスという新しい“自分のタグ”を作る準備
転職活動では、まず自分のスキルセットを「AIプロダクトにどう貢献できるか」という軸で棚卸ししました。ブランドポジショニング、ターゲットインサイトの整理、ナラティブ設計、マルチチャネルでの一貫したコミュニケーション設計など、これまでの経験をAIビジネスに翻訳して言語化。加えて、AI業界のトレンドや主要プレーヤーの戦略を学び、面接では“技術の差別化が難しくなる時代に、ブランドがどのように競争優位を生むか”を具体的な事例とともに説明できるように準備しました。

転職チャネルとしては、ハイクラス向けエージェントを通じてAI関連企業の情報を収集しつつ、ダイレクトスカウトにも登録しておきました。エージェント経由では、社内の意思決定プロセスや組織の課題感を含めた深い情報が得られ、ダイレクトスカウトでは、経営層や採用責任者と直接やり取りすることで、ポジションに対する期待値をダイレクトに把握することができました。

意思決定のポイント/自分の市場価値

1100万+SO。“AI×ブランド”の希少性が評価された
最終的に入社を決めたのは、成長フェーズにあるAIプロダクト企業でした。プロダクト自体は高いポテンシャルを持ちながらも、市場でのポジショニングやブランドメッセージが整理されておらず、「まさに自分がやるべき仕事がここにある」と感じたのが大きな決め手でした。提示された条件は年収1100万円+SO。金額面も魅力でしたが、それ以上に“ブランド戦略×AI”というタグを自分のキャリアに刻めることが、中長期的な市場価値につながると確信しました。

書類選考や面接を通じて、テック領域はプロダクト主導で動きがちでありながら、ブランドの重要性を理解しつつも社内にノウハウがない企業が多いことも実感しました。その意味で、これまでの経験を転用しながら、新しい市場で希少価値のあるポジションを築けると前向きに捉えています。

内定・転職後の変化

AI時代のブランド戦略は、“解釈と編集”の仕事だった
現在はBrand Strategy Leadとして、プロダクトのポジショニング定義、ブランドストーリーの設計、メッセージングの一貫性管理、グローバル展開時のブランド戦略などを幅広く担当しています。AIを活用したクリエイティブ生成やA/Bテストの自動化は進んでいますが、それらのアウトプットをどの方向に導くのか、どの文脈で顧客に届けるのかを決めることは、人間にしかできないと感じています。

以前は「AIに仕事を奪われるのではないか」という不安が強かったものの、今は「AIがあるからこそ、ブランド戦略の価値がより問われる時代になった」と考えられるようになりました。日々の業務は決して楽ではありませんが、自分の経験とAI時代のニーズが噛み合っている手応えがあり、キャリアの軸がようやく定まった感覚があります。

メッセージと総括

AIが変えるのは“作業”。価値を生むのは“解釈と戦略”。
生成AIの進化に不安を感じているクリエイターやマーケターの方は多いと思います。私自身も同じ立場でした。ただ、AIが得意とするのは大量生成や高速なパターン出しであって、「何を」「誰に」「どのように伝えるか」という本質的な設計は、依然として人間の役割だと感じています。

キャリアの方向性に迷ったときは、エージェントを活用して自分の強みを客観的に整理してもらうのも一つの手ですし、ダイレクトスカウト経由で企業のリアルな課題感や期待値を知るのも有効です。大切なのは、AIに代替される側にとどまるのではなく、“AI時代だからこそ必要とされる領域”に自分の価値を再定義すること。その一歩を踏み出すきっかけになればうれしく思います。

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