AI代替が進むキャリアアドバイザーからの転職/Talent Strategy Managerへ/800万→950万+SO
41歳、人材紹介会社でリクルーティングアドバイザー(RA)としてシニアクラスの採用支援を行っていた彼女は、ここ数年で大きな変化を感じていました。候補者のスクリーニングやマッチングは、求人データベースとAIレコメンドの精度向上により、以前よりもはるかにスピーディかつ自動的になりました。一方で、紹介数や売上に追われる日々の中で、「本当に企業の採用戦略や組織づくりに向き合えているのか」という疑問も募っていきました。
そんな中で出会ったのが、HR Tech企業のTalent Strategy Managerというポジション。採用データをもとに、企業ごとのタレントポートフォリオ設計や採用要件の定義を支援する役割です。AIに置き換えられやすい“紹介プロセスの一部”から抜け出し、タレント戦略そのものをデザインする側に回るため、彼女は転職を決意しました。
人物プロフィール
年齢:41歳
性別:女性
転職前:人材紹介会社/リクルーティングアドバイザー(RA)
転職後:HR Tech企業/Talent Strategy Manager
転職前年収:800万
転職後年収:950万+SO
転職動機:候補者スクリーニングやマッチングの多くがAIとアルゴリズムで自動化され始め、人が介在できる領域が狭まっていく危機感を覚えたため。個別案件の担当ではなく、採用データをもとに企業のタレント戦略そのものを設計する側へキャリアを移したかった。
ざっくりまとめると
・人材紹介会社のRA(リクルーティングアドバイザー)→HR Tech企業のTalent Strategy Managerへ
・スクリーニングや推薦業務がAIマッチングに置き換わりつつあり将来に不安
・800万→950万+SO、個別案件からタレント戦略全体を設計する役割にシフト
・求人票単位ではなく、採用ポートフォリオと人材要件設計を担うポジション
・“紹介数で評価されるRA”から“タレント戦略で事業成長に貢献する人材”へ転身した事例
転職前のキャリアと悩み
AIマッチングが当たり前になる中で、“私じゃなくてもいい紹介”が増えていった
人材紹介会社でRAとして働き始めた頃は、候補者のレジュメを一枚ずつ読み込み、企業のカルチャーやマネジャーの好みを想像しながら、「この人なら合うかもしれない」と仮説を立てて紹介していました。そのプロセス自体に、大きなやりがいと誇りを感じていました。
しかし、数年が経つにつれ、社内のマッチングシステムやAIレコメンドの精度がどんどん上がり、条件面だけでなく職務経歴の文脈も含めたスクリーニングが自動で行われるようになりました。候補者リストの上位に並ぶ人材は、たしかに紹介しても高い確率で書類が通ります。ただ、その候補者の多くは、私でなくとも誰が担当しても同じように出てきたであろう人材でした。
自分の仕事が、「AIが出してきた候補者を企業に紹介するだけ」の役割に近づいている感覚があり、このままでは自分の介在価値が薄れていくのではないかという不安が、日に日に大きくなっていきました。
転職を意識したきっかけ
“ポジション単位”ではなく“タレントポートフォリオ単位”で語る仕事に惹かれて
転機となったのは、とあるSaaS系スタートアップの採用責任者と話をしたときでした。彼は、「一つひとつの求人票だけを見るのではなく、プロダクトフェーズに応じたタレントポートフォリオをどう組むかが大事だ」と話していました。単に今空いているポジションを埋めるのではなく、1〜2年後の事業戦略を踏まえて「どのタイミングでどのタイプの人材を何名確保するか」を設計するという考え方に、強い共感を覚えました。
その後、HR Tech企業が提供する採用管理システムやタレントマネジメントツールを調べるうちに、「採用データを軸に企業のタレント戦略を支援する仕事」が存在することを知りました。個別の求人を預かるRAではなく、企業の採用戦略全体に入り込むポジションであれば、AIに置き換えられやすい部分に依存しないキャリアが築けるのではないかと考え始めました。
転職活動内容
“成約件数”ではなく“採用戦略への関与度”で自分のキャリアを棚卸し
転職活動を始める前に取り組んだのは、自分の実績を「何人決めたか」ではなく、「どれだけ企業の採用戦略に踏み込んだか」という軸で棚卸しすることでした。
・経営陣や事業責任者と一緒に新ポジションの要件定義を行ったプロジェクト
・採用難易度の高いポジションに対して、ターゲットの見直しや採用チャネルの再設計を提案した経験
・複数ポジションをまとめて採用計画として設計し、フェーズごとに優先順位をつけたケース
といったエピソードを洗い出し、「ただのエージェント」ではなく「採用戦略のパートナー」として関わってきた事例を言語化していきました。
同時に、HR Tech業界に強いエージェントに登録し、Talent StrategyやTalent Partnerといったポジションの募集背景や求められるスキルセットをヒアリングしました。また、ダイレクトリクルーティングにも登録し、実際にHR Tech企業の採用担当者とカジュアル面談を重ねることで、自分の経験がどこまで通用するのかを確認していきました。
意思決定のポイント/自分の市場価値
800万→950万+SO、“採用の打ち手”ではなく“採用戦略”を問われる立場へ
最終的に入社を決めたのは、成長中のHR Tech企業でした。自社の採用管理システムとタレントマネジメントツールを活用しながら、クライアント企業の採用戦略立案を支援するTalent Strategy Managerというポジションです。提示された条件は年収950万円+SO。年収アップ以上に、「採用戦略そのものを一緒につくる仕事をしてほしい」というメッセージが、私にとって大きな魅力でした。
選考では、複数の企業でタレント要件の見直しや、採用プロセス改善に関わった経験が評価されました。一方で、自社プロダクトやデータ分析のリテラシーについてはキャッチアップが必要な点として共有され、入社後のトレーニングプランが提示されました。自分の強みと弱みが整理された上でオファーをもらえたことで、「長期的な成長を期待されている」と感じられ、入社の決め手になりました。
内定・転職後の変化
AIが候補者をリストアップし、人が“どんな組織をつくるか”を決める
現在はTalent Strategy Managerとして、クライアント企業の事業戦略や組織課題をヒアリングしながら、必要なタレントポートフォリオや採用計画を一緒に設計しています。自社プロダクトが蓄積している採用データや市場動向をもとに、「この成長ステージなら、まずはここに投資した方が良い」「この職種は自社採用よりも外部パートナー活用の方が合理的」といった提案を行う毎日です。
かつてのように、AIレコメンドが示した候補者をそのまま紹介するのではなく、「どんな背景でこのポジションが必要になっているのか」「1〜2年後にどのようなチーム構成になっているべきか」といった上流の問いから議論できるようになったことは、大きなやりがいです。一方で、事業理解やデータリテラシーが求められるため、インプット量も以前より格段に増えました。それでも、「AIに代替される仕事」から「AIを前提としたタレント戦略を描く仕事」へシフトできた実感があります。
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