26歳、AIに「絵作り」を譲り、「体験」を作るデザイナーへ。年収200万UPの生存戦略
「このバナー、AIなら30秒で作れるよね?」──上司の何気ない一言が、私のクリエイター魂に火をつけ、そして絶望させました。
広告制作会社のグラフィックデザイナーとして3年。徹夜でレイアウトを調整する毎日でしたが、画像生成AIの登場で「きれいな絵を作るスキル」の価値は暴落。危機感を抱いた26歳の男性が選んだのは、AIと張り合うことではなく、AIを“高速で試作を作る助手”として使い、人間は「使いやすさ(UX)」を設計するUI/UXデザイナーへの転身でした。
「手だけ動かすオペレーター」から「思考する設計者」へ。年収350万から550万へアップした若手デザイナーの挑戦です。
人物プロフィール
年齢:26歳
性別:女性
転職前:広告制作会社/グラフィックデザイナー・DTPオペレーター
転職後:Fintech系ベンチャー企業/UI/UXデザイナー
転職前年収:350万
転職後年収:550万
転職動機・テーマ:画像生成AIの台頭による「制作(作業)業務」の価値低下への危機感から、AIをツールとして活用しつつ、上流の「体験設計(UI/UX)」へキャリアチェンジ。
ざっくりまとめると
・26歳女性。広告制作会社でグラフィックデザイナーとして勤務も、生成AIの品質に衝撃を受ける。
転職前のキャリアと悩み
「徹夜で作ったデザインが、AIの“生成ボタン”ひとつに負けた日。」
新卒で入った広告制作会社では、主にWebバナーやチラシの制作を担当していました。給料は手取り20万円ちょっと。それでも「センスを売る仕事」という誇りを持って、細部のあしらいや色味にこだわって仕事をしていました。
しかし、画像生成AIの衝撃は凄まじいものでした。私が3時間かけてラフを描いても、AIは「近未来風の都市、青基調」と入力するだけで、遥かにクオリティの高い画像を数秒で4枚も吐き出す。「これからは修正作業だけやってくれればいいから」。クライアントからの要望も、クリエイティブな提案ではなく、AI素材の微調整ばかりになり、「自分はデザイナーではなく、ただのツールオペレーターになってしまう」という強烈な焦燥感に襲われました。
転職を意識したきっかけ
「“きれいな絵”はAIに勝てない。でも“使いやすい設計”は人間にしかできない。」
転職を考え始めた頃、趣味でアプリ開発のハッカソンに参加しました。そこでエンジニアと組んで仕事をした際、「絵がきれいかどうか」よりも「ボタンが押しやすいか」「迷わず操作できるか」という『設計(ロジック)』の方が、プロダクトの価値を左右することに気づきました。
「これだ」と思いました。ビジュアルの美しさはAIが生成できても、「なぜそのボタンがそこにあるのか」という文脈やユーザー心理までは、まだAIは設計できない。グラフィック(表層)からUI/UX(構造)へ軸足を移せば、AIは敵ではなく「アイデア出しを爆速化してくれる相棒」になる。そう確信し、ポートフォリオを刷新し始めました。
転職活動内容
「“作品集”ではなく“思考プロセス”を見せるポートフォリオへ。」
転職活動では、これまでの「完成したきれいなポスター」を見せるのをやめました。代わりに、「AIで100パターンのラフ出しを行い、そこからユーザーテストを経て、なぜこの最終形になったのか」という“制作プロセス”と“AI活用フロー”をまとめた資料を作成しました。
利用したのは、Web・IT業界に強いエージェントと、クリエイター向けスカウトサービスです。面接では「AIを使うことに抵抗はないか?」とよく聞かれましたが、「むしろMidjourneyとFigmaを連携させて、検証スピードを3倍にしました」とアピール。これが「新しいツールを食わず嫌いしない若手」として、テック系企業のリードデザイナーに強く刺さりました。
意思決定のポイント/自分の市場価値
「“感覚”で勝負する世界から、“論理”で評価される世界へ。」
最終的に、Fintech(金融)系のアプリ開発ベンチャーに入社を決めました。提示年収は550万円。前職の350万円から一気に200万円アップです。
この会社を選んだ決め手は、デザインを「感性」ではなく「機能」として捉えていたことです。金融アプリはおしゃれさよりも「信頼感」や「誤操作のなさ」が命。私のグラフィック出身ならではの「視認性の高いレイアウト力」と、新しく学んだ「ロジカルなUI設計」の掛け合わせが、最も活きる環境でした。おしゃれな広告を作る会社からは書類落ちしましたが、結果的に「機能美」を追求する今の職場の方が、AI時代における生存確率は高いと判断しました。
内定・転職後の変化
「AIに素材を作らせ、人間が道筋を作る。」
現在は自社アプリのUI改善を担当しています。アイコンやイラスト素材はAIに生成させて時短し、浮いた時間でユーザーインタビューや画面遷移の設計に集中しています。「君のおかげでアプリの継続率が上がったよ」と数字で成果が見えるのが、今の最大のやりがいです。
かつては「自分の手で描かないなんて」という変なプライドがありましたが、今は「ユーザーに価値が届けば手段は何でもいい」と割り切れています。結果的に残業は減り、給料は増え、将来への不安も「どうAIを使い倒してやろうか」というワクワク感に変わりました。
あなたと同じタイプの転職成功事例を探す
会員登録(無料)