「大手有名商社の看板」を捨て、34歳で年収450万ダウンのスタートアップへ。私が選んだ“手触り感”のある経営参画
今回取材したのは、新卒で4大商社の一つに入社し、モビリティ分野の海外事業投資やPMI(投資後支援)に従事。順風満帆なキャリアだったが、30代半ばで「自分は事業を管理しているだけで、ゼロから作れないのではないか」という危機感から転職を決意。年収ダウンを受け入れ、IPOを目指すディープテック企業の執行役員として参画した事例です。是非ご覧ください
人物プロフィール
年齢:34歳
性別:男性
転職前:大手総合商社/海外事業投資部門
転職後:シリーズBフェーズのClimate Tech(気候テック)スタートアップの事業開発責任者
転職前年収:1550万
転職後年収:1100万+ストックオプション
転職動機:「商社のPMI担当」からIPO路線のスタートアップで経営に参画&上場益でワンランク上の資産規模とキャリアを目指したい。
ざっくりまとめると
・新卒で4大総合商社に入社。海外事業投資やPMI(投資後支援)を経験。
・30代半ばで「自分は事業を管理しているだけで、ゼロから作れないのではないか」という強烈な危機感を抱き、転職を決意。
・年収ダウンを受け入れ、将来のIPOを目指すディープテック企業の執行役員(事業開発責任者)として参画。
転職前のキャリアと悩み
恵まれすぎた待遇の職場
私は大手総合商社で、入社以来、一貫してモビリティ分野の海外プロジェクトに携わってきました。
20代後半でのブラジル駐在、帰国後の欧州EVベンチャーへの出資案件など、商社パーソンとしては恵まれたキャリアパスでしたが、30代半ばになり、業務の中心が「既存投資先のモニタリング」や「社内稟議のための資料作成」にシフトしていく中で、漠然とした焦りを感じていました。
投資先に対して「KPIが未達だ」と指摘することはできても、「じゃあお前が現場で泥を被って売上を作れるのか?」と問われたら、自信を持ってYESと言えませんでした。 看板と資金力で商売をさせてもらっているだけで、個人のビジネスマンとしての「事業創出力」は意外と低いのではないか?
このまま会社に残っても「社内政治が上手い調整役」にしかなれないのではないか。そんな疑念が、転職を考える根本的な理由でした。
転職を意識したきっかけ
“出資先ベンチャーCFOの「生きた言葉」
決定打となったのは、担当していた出資先の海外スタートアップとの定例会議でした。 私と同世代のCFOが、資金ショートの危機の中で銀行とハードな交渉を行いながら、同時に現場のエンジニアを鼓舞してプロダクトを磨き込んでいる姿を目の当たりにしました。
「商社のPMI担当」として外からアドバイスする自分と、人生を賭けて事業を回している彼。 「このまま40歳になった時、どちらがビジネスマンとして強いか」は明白でした。 社内の昇進レースの先に見える景色よりも、彼のような「ヒリヒリするような経営の最前線」に立ちたいと強く思いました。
転職活動内容
“「商社人材」のレッテルとの戦い
転職活動ですが、正直、最初は苦戦しました。スタートアップ側からは「商社の方は給与水準が高すぎて採用できない」「現場仕事をしてくれないのではないか(プライドが高そう)」というバイアスで見られがちだったからです。
そこで私は、職務経歴書を全面的に書き換えました。「投資金額の大きさ」をアピールするのではなく、「投資先の現場に入り込み、泥臭いドブ板営業で売上を〇%改善した経験」や「PMIにおける組織融合の苦労話」など、ハンズオンでの実務能力を強調しました。
結果、シリーズB前後の「これから組織を整え、IPOを目指す」フェーズの企業から、CFO候補や事業開発責任者として高い関心を寄せてもらえるようになりました。
意思決定のポイント/自分の市場価値
「ガバナンス」と「攻め」の両利きができる希少性
最終的に現職を選んだ決め手は、CEOからの「技術には自信があるが、それを大企業に売り込み、上場に耐えうる組織にするための『共通言語』を持った人間がいない」という言葉でした。
商社で培った「大企業とのアライアンス構築力」と「上場企業水準のコンプライアンス・予実管理能力」は、カオスなスタートアップが次のステージ(IPO)に行くために喉から手が出るほど欲しいスキルセットです。 自分のキャリアが、ここでは「守り」ではなく「攻めの武器」として評価されることに、大きな市場価値を感じました。
内定・転職後の変化
年収450万ダウンでも得られた「手触り感」
年収は大きく下がりましたが、生活水準を落とすことへの不安よりも、ストックオプションへの期待と「毎日事業が前に進んでいる」という実感の方が勝っています。 入社初日から、就業規則の改定、大手メーカーとのPoC契約の巻き取り、採用面接まで、文字通り「全部」やっています。商社時代のような根回しや無駄な会議は一切なく、自分の意思決定がダイレクトに会社の数字に跳ね返る環境は、プレッシャーですが最高にエキサイティングです。
備考
転職のプロが分析。この人物を高く評価してくれそうな企業(タートアップ)例。
◆株式会社TBM(素材・サステナビリティ)
選定理由: 新素材「LIMEX」をグローバル展開しており、商社出身者の海外展開ノウハウやサプライチェーン構築能力が直結します。ユニコーン級でありながら上場準備の佳境にあり、管理部門・事業開発ともにハイクラス人材を求めています。
◆Tier IV(ティアフォー)(自動運転・Deep Tech)
選定理由: 自動運転OSの開発には、技術だけでなく「国や自治体、大手自動車メーカー」を巻き込む巨大なプロジェクトマネジメント力が不可欠です。三井物産のインフラ輸出のような大規模案件の経験が活きるフィールドです。
◆エレファンテック株式会社(製造DX・サステナビリティ)
選定理由: 環境負荷を低減する新しい製法での電子回路製造を展開。技術力は高いですが、それを世界中のメーカーに実装させるための「BtoBの事業開発力」が鍵となります。商社マンの交渉力が強みになるフェーズです。
あなたと同じタイプの転職成功事例を探す
会員登録(無料)