「休みなし、帰れない、怒号が飛ぶ」…そんな現場から逃げ出した僕が、建設業界の“救世主”と呼ばれるまで。 / 29歳・元現場監督の建設DXキャリア論

今回ご紹介するのは、新卒で中堅ゼネコンに入社し、マンションや商業施設の施工管理(現場監督)として働いていた29歳男性のストーリーです。 「地図に残る仕事」というロマンに惹かれて入った建設業界。

しかし待っていたのは、月100時間を超える残業と、アナログすぎる現場の慣習でした。 心身ともに限界を迎え、「二度と建設業には関わらない」と誓って退職した彼。しかし現在、彼は再び建設業界のど真ん中で、かつてないほどのやりがいを感じて働いています。 「現場を捨てる」のではなく「現場を救う」側に回った男の、キャリア大転換の記録です。

人物プロフィール

年齢:29歳
性別:男性
転職前:中堅ゼネコン / 建築施工管理(現場監督)
転職後:施工管理アプリを提供するSaaS企業/ カスタマーサクセス
転職前年収:650万
転職後年収:600万(他、インセンティブあり)
転職動機・テーマ:「FAXと電話と根性論」で回っている建設現場の非効率さを、根本から変えたかった。

ざっくりまとめると

・新卒でゼネコンに入社。現場監督として職人さんを束ねるも、長時間労働で疲弊

・「建設業は好きだが、この働き方は一生続けられない」と悩み、異業界への転職を決意

・現場に導入されたITツールが「使い物にならず放置されている」現状を見て、強い課題感を抱く

・「現場を知らないIT屋には任せられない。自分が作る側に回ろう」と決意し、建設DXベンチャーへ

・現場用語がわかる「通訳」として、導入支援で大活躍中

転職前のキャリアと悩み

「『親の死に目以外は休むな』って本気で言われる世界。自分が壊れる音が聞こえました」

現場の仕事自体はとても好きだったんです。何もない場所に建物が立ち上がっていく高揚感は、他の仕事では味わえない素晴らしいものですから。

ですが、働き方が昭和のままで止まっていました。 日中は職人さんへの指示出しや安全管理で手一杯になります。職人さんが帰った夕方から、やっと自分の事務作業が始まるんです。施工図の修正、工程表の更新、そして膨大な写真整理……。

気づけば終電の時間で、休みは週に1回あるかないかという生活でした。 「IT化すれば一瞬で終わる作業なのに、なんで手書きなんだろう?」 そんな疑問を口にしようものなら、「楽をするな」「現場を知らない奴が何を言うんだ」と上司に怒鳴られてしまうんです。 30代、40代の先輩たちが次々と体を壊して辞めていくのを見て、「あぁ、ここに私の未来はないな」と悟ってしまいました

転職を意識したきっかけ

「本部が導入した最新のタブレット端末が、現場では『ただの鍋敷き』になっていたんです」

転機となったのは、会社が「業務効率化」と称して、高額な施工管理システムを導入した時のことでした。

本部の人間は「これで残業が減る」と豪語していましたが、現場に届いたのは、文字が小さくて見づらく、軍手をしたままでは操作できない代物だったんです。 職人さんたちは「こんなの使えるか!」と激怒してしまい、結局、そのタブレットは事務所の隅で埃をかぶり、現場はいつもの紙とFAXに戻ってしまいました。

その光景を見たとき、悔しさと共に、ある確信が生まれたんです。 「現場を知らない人間が作ったツールなんて、ゴミと同じだ。でも逆に言えば、現場の痛みを知っている人間が作れば、この業界は劇的に変わるんじゃないか?」 逃げるように辞めるのではなく、「現場を救うための武器」を探しに行こう。そう決意した瞬間、転職活動の軸が定まりました。

転職活動内容

「スーツじゃなくて、心の中はニッカポッカのままで面接に行きました(笑)」

面接では、あえてカッコいいビジネス用語を使うのはやめました。代わりに、現場のリアルな課題をぶつけたんです。
「現場監督は、雨の日に工程がズレるのが一番怖いんです。だから、この機能があれば監督は泣いて喜びます」

「職人さんにスマホを使わせるなら、文字入力じゃなくて音声入力じゃないとダメです。軍手をしているので」 今の会社の社長にそう力説しましたら、「君、本当に現場のことわかってるね! 即戦力だ!」と言っていただき、その場で握手を求められました。 一般的なIT企業なら「ロジカルシンキングが足りない」と言われて落ちていたかもしれません。でも、ここでは「現場感覚(ドメイン知識)」こそが、最強のロジカルだったのです。

意思決定のポイント/自分の市場価値

「『逃げた』と言われるのが怖かったです。でも今は『業界を変えるために場所を変えただけ』と胸を張れます」

正直にお話しすると、年収は少し下がりました(前職は残業代が異常に多かったので笑)。 ですが、決め手になったのは「生活の質」と「社会的意義」です。

・人間らしい生活: 土日祝休みで、リモートワークも可能です。これが本当に嬉しかったです。

・レバレッジの効く仕事: 現場監督時代は「1つの現場」しか見れませんでしたが、今はアプリを通じて「数百の現場」を効率化できています。

・市場価値の逆転: 「ITもわかる現場監督」なんて、業界にほとんどいません。この希少性は強い武器になると思いました。

内定・転職後の変化

「『お前のおかげで早く帰れるようになったわ』。現場時代には貰えなかった感謝の言葉が、今の私の勲章です」

現在はカスタマーサクセスとして、建設会社様にアプリの導入支援を行っています。

私が現場に行くと、最初は職人さんたちも「またIT屋が変なもん売りに来たぞ」という顔をするんです。でも、「私も元監督で、配筋検査の写真整理で地獄を見てたんですよ」とお話しすると、一気に空気が変わるんです(笑)。 「なんだ、こっち側の人間か!」って。 そこからは早いですよ。私の説明を信頼してくださって、どんどんアプリを使ってくれるようになります。

先日、ある現場の所長からお電話をいただいたんです。「このアプリのおかげで、若手が辞めずに続いてるよ。ありがとう」って。 現場監督時代は、クレーム処理ばかりで「すみません」しか言っていなかった私が、今は「ありがとう」と言っていただける。 場所を変えるだけで、こんなに仕事って楽しくなるんだなと、毎日噛み締めています。

メッセージと総括

「現場で培ったその根性、もっと高く売れますよ」

毎日、泥だらけになって、理不尽な要求に耐えて、現場を回している施工管理の皆さん。 皆様は、ご自身が思っている以上に「すごいスキル」を持っていらっしゃいます。

納期(工期)を守る調整力、気難しい職人さんを動かす交渉力、トラブルを即座に解決する判断力。 それは、涼しいオフィスでPCを叩いている人たちが喉から手が出るほど欲しい「実戦経験」なんです。

「自分には現場しかない」なんて思わないでください。 そのヘルメットを置いても、皆様の価値は下がりません。むしろ、ITという武器を持てば、あなたは建設業界を変えるヒーローになれます。 現場が嫌いになってしまう前に、ぜひ一度、外の世界を覗いてみてください。

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