不動産の高額取引営業からM&Aコンサルタントへ|“資産”ではなく“会社”を動かす側に転身した31歳

今回は、事業用・投資用不動産の高額取引営業として実績を積んだ31歳男性が、国内最大級のM&A仲介会社へ未経験転職し、M&Aコンサルタントとして事業承継の最前線に挑んだ事例です。
“資産”の売買で培った交渉力と、意思決定者に入り込む営業力を、“会社そのもの”を動かす支援へと拡張したストーリーをお届けします。

人物プロフィール

年齢:31歳
性別:男性
転職前:不動産会社/事業用・投資用不動産の売買営業(高額取引、法人・富裕層向け)
転職後:国内最大級のM&A仲介会社/M&Aコンサルタント
転職前年収:980万円(歩合込み)
転職後年収:900万円(入社時提示)+インセンティブ
転職動機・テーマ:不動産という“資産取引”に留まらず、経営者の「会社を残す」意思決定に伴走したい。未経験M&A(交渉×段取り×クロージングで案件化~成約へ)

ざっくりまとめると

・不動産の高額取引で培った 決裁者折衝・条件交渉・長期案件の推進・クロージング力 が、M&A仲介の仕事に直結する形で評価された

・未経験の弱点(財務、バリュエーション、M&A実務)は、決算書の読み方+企業価値の考え方を短期集中で補完し、面接では“アウトプット”で示した

・転職後は、ソーシング(案件化)→マッチング→条件調整→クロージングまで一気通貫。資産売買より関係者が増え、意思決定が“合理性+感情”で動く比重が大きくなった

・難易度は上がったが、会社・雇用・取引を次世代に繋ぐ手応えが増し、成果連動の納得感も大きい

転職前のキャリアと悩み

転職前は、事業用・投資用不動産の売買営業として、法人・富裕層を中心に高額取引を扱っていました。
テナント収支、修繕計画、稼働率、利回り、融資条件、出口戦略まで含めて整理し、

・売主の希望条件(価格・時期・情報秘匿)

・買主の投資判断(利回り・リスク・資金調達)
を擦り合わせ、契約から引き渡しまでを進める仕事です。

この仕事を通じて、「意思決定者の心理」と「条件交渉の落としどころ」は徹底的に鍛えられました。一方で、経営者と向き合う機会が増えるほど、違和感も強くなっていきました。

経営者が不動産を売る背景には、資産の組み替えだけでなく、

・後継者不在

・事業の先行き不安

・借入・個人保証

従業員の雇用
といった“会社そのもの”の課題が隠れていることが多い。
しかし自分が提供できるのは、あくまで不動産という手段の提案です。会社の未来を左右する意思決定に踏み込めないもどかしさがありました。

転職を意識したきっかけ

きっかけは、ある中小企業オーナーの不動産売却案件でした。
決算書や資金繰りを見ていくと、不動産を売る理由が「資産の組み換え」ではなく、「会社を畳む前の整理」に近いことが分かりました。

売却が進むほど、社長の表情が複雑になっていく。「本当は会社を残したい。でも継ぐ人がいない」という葛藤が滲む。
その姿を見て、「自分は資産は動かせても、会社は動かせていない」と感じました。

会社が残れば、雇用も取引も地域の価値も残る。
そこに関われるのがM&Aであり、経営者の“最後の意思決定”に伴走できる仕事だと理解してから、M&A仲介へ強く惹かれるようになりました。

転職活動内容

未経験転職で意識したのは、不動産営業の経験を「M&Aで勝てる型」に落として示すことでした。

1)不動産営業をM&Aプロセスに翻訳

・ソーシング(案件化):新規開拓・紹介獲得・守秘を前提とした信頼構築

・企業理解(課題整理):収益構造とリスクを読み、論点を整理して意思決定を助ける

・マッチング提案:買い手の投資判断に刺さるストーリーを作る(シナジー・改善余地・リスク)

・条件調整・推進:価格だけでなく条件(支払方法・引継ぎ・表明保証等)を含めて落としどころを作る

・クロージング:期限が迫る中で関係者を動かし、契約まで持っていく執着

2)財務・バリュエーションを短期集中で補完

不動産は収支に強い一方、会社の価値は別物です。

・PL/BS/CFの基礎を整理し、運転資本・借入・キャッシュ創出力を読める状態に

・企業価値の考え方(EBITDA、マルチプル、時価純資産)を理解

・架空企業の企業分析メモを作成し、「買い手が気にする論点」を自分の言葉で説明できるように

3)面接では“初動計画”を提示し、未経験リスクを下げる

「入社後どう動くか」を具体に語れるようにしました。

・どの業界のオーナーに当たり、どう紹介導線を作るか(士業、金融機関、同業ネットワーク等)

・初回面談で何を聞き、何を整理し、次回までに何を出すか

・断られたときの改善(仮説→打診→検証→修正)
この“行動の型”を示すことで、未経験でも立ち上がるイメージを持ってもらえました。

意思決定のポイント/自分の市場価値

意思決定のポイントは3つでした。

1.経営者の意思決定に深く入り、会社の未来に伴走できる

2.ソーシングからクロージングまで一気通貫で担い、成果が報酬に連動する環境で勝負できる

3.教育・ナレッジ・分業があり、未経験でも“型”を掴んで早期に成果を出せる

自分の市場価値は、次の3点に整理しました。

・交渉設計力:価格だけでなく条件の落としどころを作る

・長期案件の推進力:複数関係者を巻き込み、前に進める段取り

・意思決定者折衝:守秘と信頼を前提に本音を引き出す
これに財務理解を足し、「会社を動かす交渉」に転用できると考えました。

内定・転職後の変化

転職後は、案件の“重さ”が明確に増えました。
不動産は資産取引ですが、M&Aは会社・雇用・取引先を含む意思決定で、合理性だけでは動きません。譲渡には感情が伴い、家族や幹部、顧問先の理解も必要になります。

その分、初期の整理(譲渡理由、譲れない条件、優先順位)を早い段階で固め、失注要因を先回りして潰す重要性を痛感しました。
一方で、成約した時の手応えは大きく、「会社が次に繋がった」と感じられる瞬間は、資産取引とは比べ物になりません。成果連動の報酬設計も含めて納得感が増しました。

メッセージと総括

不動産出身でM&Aに挑戦する強みは、「交渉の現場」を知っていることです。
ただ、M&Aは“会社”を扱う分、論点が増え、感情の意思決定も大きく影響します。だからこそ、財務の基礎を補完し、ソーシングの行動量を出せるかが鍵になります。

資産を動かすだけではなく、会社を残し、雇用を守り、取引を繋ぐ意思決定に伴走したい——そう思う人にとって、M&A仲介は本気で挑戦する価値のある領域だと思います。

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