法人保険営業からM&Aコンサルタントへ|“経営者の最後の相談”に伴走するため転身した30歳

今回は、大手保険会社で法人営業として中小企業の経営者に伴走してきた30歳女性が、国内最大級のM&A仲介会社(企業名非公開)へ未経験転職し、M&Aコンサルタントとして事業承継の意思決定に踏み込んだ事例です。
「守る提案」から「残す意思決定」へ。経営者の本音に触れてきた経験を、M&Aの案件化と推進へ転用したストーリーをお届けします。

人物プロフィール

年齢:30歳
性別:女性
転職前:大手保険会社/法人営業(経営者開拓、既存深耕、退職金・保障設計、法人保険の提案)
転職後:国内最大級のM&A仲介会社/M&Aコンサルタント
転職前年収:720万円(歩合込み)
転職後年収:780万円(入社時提示)+インセンティブ
転職動機・テーマ:保障・退職金の提案だけでは解けない「後継者不在・廃業」の悩みに、承継という選択肢で伴走したい。保険→未経験M&A(経営者の本音×紹介導線×案件推進で承継を動かす)

ざっくりまとめると

・法人保険営業で鍛えた 経営者折衝・信頼構築・紹介獲得・長期関係の伴走 が、M&A仲介のソーシング(案件化)に直結した

・未経験の弱点(財務・バリュエーション・M&A実務)は、決算書の基礎+企業価値の考え方を短期集中で補完し、面接ではアウトプットで示した

・転職後は、初回面談で「譲渡理由・優先順位・譲れない条件」を言語化し、感情面を含む意思決定を前に進める役割が増えた

・会社・雇用・取引を次に繋げられた時の手応えが大きく、成果連動の納得感も強い

転職前のキャリアと悩み

転職前は、法人保険の営業として中小企業の経営者を担当していました。提案内容は、いわゆる“保障”だけではありません。

・退職金準備・役員報酬設計

・個人保証・借入と絡む保障の整理

・万が一の事業継続(キーマン保障)

・相続・事業承継の入口相談(株式・相続の論点整理)
など、経営者のライフイベントに深く関わる仕事でした。

この仕事を通じて、経営者が何に悩み、何を恐れ、誰に相談できずに抱え込むのかを間近で見てきました。
一方で、相談が深くなるほど「保険では解けない悩み」が必ず出てきます。

特に多かったのが、
「後継者がいない」
「子どもには継がせない」
「社員を路頭に迷わせたくない」
という“会社の出口”の悩みです。

保障を厚くすることはできても、会社をどう残すかは決められない。
経営者の最後の意思決定に近づくほど、自分の提案が“手段”に留まっている感覚が強くなっていきました。

転職を意識したきっかけ

きっかけは、長年付き合いのある社長が、面談の終わり際にふと漏らした一言でした。
「保険も退職金も準備した。でも、会社をどうするかが決まっていない。」

財務も安定し、商品も強い。それでも後継者がいない。
「廃業にするには社員がいる」「M&Aは不安」「誰に相談していいか分からない」
その葛藤を聞いた時、経営者の悩みの本丸は“保障”ではなく“承継”だと確信しました。

会社が残れば、社員の雇用も、取引先との関係も、地域の価値も残る。
その意思決定に当事者として伴走できるのがM&A仲介だと理解し、キャリアの軸を承継支援に移す決意をしました。

転職活動内容

未経験転職で重視したのは、「保険の営業ができる」ではなく、M&Aで成果を出す再現性を示すことでした。

1)保険営業をM&Aプロセスに翻訳して言語化

・ソーシング(案件化):経営者の本音を引き出し、相談が自然に生まれる関係を作る

・初回面談の設計:悩みを“論点”に分解し、意思決定の順番を作る(譲渡理由・優先順位・譲れない条件)

・紹介導線:顧問税理士・社労士・金融機関・既存顧客から紹介を生む仕組み化

・長期伴走:不安や抵抗感がある意思決定を、時間をかけて前に進める

「相談業務」としての強みを、案件化に直結する形で整理しました。

2)財務・バリュエーションの弱点は短期集中で潰す

保険営業は“会社の中身”より“経営者の事情”に寄りがちです。そこを補うために、

・PL/BS/CFの基礎(どこで稼ぎ、どこでキャッシュが減るか)

・運転資本、借入、個人保証の論点

・企業価値の考え方(EBITDA、マルチプル、時価純資産)
を学習し、架空企業の分析メモを作って説明できる状態にしました。

3)面接では“初動計画”と“改善ループ”を提示

未経験で最も見られるのは、「入社して何をするか」「行動量を出せるか」です。

・どの業界・どの属性の経営者に当たり、どう面談を取るか

・初回面談のヒアリング設計(必ず押さえる質問リスト)

・断られた時の改善(仮説→打診→検証→修正)
を具体に語り、立ち上がりのイメージを持ってもらいました。

意思決定のポイント/自分の市場価値

意思決定のポイントは3つでした。

1.経営者の“最後の相談”に、承継という選択肢で伴走できる

2.ソーシングからクロージングまで一気通貫で担い、成果が報酬に連動する環境で勝負できる

3.教育・ナレッジ・分業が整っており、未経験でも“型”を掴んで早期に立ち上がれる

自分の市場価値は、次の3点に整理しました。

・経営者の本音を引き出す力(悩みを言語化し、意思決定の順番を作れる)

・紹介導線の構築(士業・既存顧客から自然に紹介が出る関係性を作れる)

・長期伴走力(不安が大きい意思決定を、折れずに前に進める)

“数字”は後から伸ばせるが、“本音に入る力”は簡単には身につかない。そこを武器にする設計にしました。

内定・転職後の変化

転職後に最も変わったのは、意思決定の“重さ”と“感情の比率”です。
M&Aは合理性だけで動きません。

・会社を手放す葛藤
・家族や幹部への説明
・社員の将来への不安

を丁寧に扱いながら、プロセスを前に進める必要があります。

一方で、初期の整理(譲渡理由・優先順位・譲れない条件)を早い段階で固めることで、後工程のブレが減り、失注要因を先回りして潰しやすくなりました。
「会社を次に繋げた」「社員が安心した」と言われる瞬間の手応えは、保険営業で感じていた“守る”価値とはまた違う大きさがあります。

メッセージと総括

保険出身でM&Aに挑戦する強みは、「経営者の本音に入れること」です。
ただし、未経験の壁は知識よりも、ソーシングの行動量と案件化の型。ここを避けずに磨けば、十分に勝負できます。

保障で守るだけでなく、承継で会社を残す。
経営者の最後の意思決定に当事者として伴走したい人にとって、M&A仲介は本気で挑戦する価値のある領域だと思います。

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