32才で商社からAIスタートアップに挑戦し掴んだ裁量

本日の転職事例は、海外で新規事業を推進してきた商社出身の32歳。多国籍チームを率い、現場で磨いた実行力に戦略の視座を掛け合わせ、よりスピードと裁量のあるAIスタートアップへ舵を切りました。

キーワードは「戦略×実装」「仮説検証の速さ」「グローバル経験の再定義」。大組織で培った推進力を、プロダクト中心の文化でどう活かしたのか。入社後の役割は事業開発責任者。市場仮説の検証、パートナー戦略、CS体制づくりまで一気通貫で担当し、年収も820万→1200万へ。意思決定の背景とリアルな変化を等身大で紐解きます。

人物プロフィール

年齢:32歳
性別:男性
転職前:総合商社/海外事業推進(新規事業PM)
転職後:AIスタートアップ/事業開発責任者(BizDev Lead)
転職前の年収:820万
転職後年収:1200万
転職動機・テーマ:グローバル事業経験を活かし、AI産業の成長フェーズに挑戦

ざっくりまとめると

  • 商社×海外駐在→AIスタートアップのレアキャリア
  • 0→1新規事業と多国籍マネジメント経験
  • スピードと裁量を求めAI事業へ
  • 年収820万→1200万
  • 戦略と実行のハイブリッド型

転職前のキャリアと悩み

商社の海外子会社で新規事業開発に携わり、現地パートナーとの折衝や新サービス立ち上げ、チームビルディングを担っていました。大きな裁量を持ち、数十億規模の事業投資にも関わりながら、成果を出せている手応えが確かにありました。実際、海外で事業を推し進める経験は貴重で、仕事を楽しんでいたと思います。

しかし同時に、「このまま同じレールを進むだけで良いのだろうか」という漠然とした不安を抱えていました。商社のビジネスは多角的で学びは多いものの、組織が大きい分、意思決定までの距離が長く、スピード感に限界を感じる局面もありました。現地で市場の変化やユーザーニーズを直接感じているのに、変革の動きが内側で止まってしまうことがある。そのもどかしさは年々大きくなりました。

また、AIやSaaS領域の急成長を目の当たりにし、自分が携わる事業領域のインパクトの出し方や、将来の市場価値について考えるようになりました。グローバルで戦う市場で、スピードとテクノロジーを軸に競争優位を築いていく環境に身を置きたい。そうした思いが強くなり、変化を求める気持ちを抑えられなくなっていきました。

安定した環境を離れることへの不安は当然ありました。組織力が強みである商社から、スピードが求められるスタートアップへの転身は、キャリア上の大きな賭けでもあります。それでも、自分のキャリアが次のステージに進むためには、「変化の中心に身を置く」という意思決定が必要だと感じました。

転職を意識したきっかけ

転職を意識するきっかけになったのは、現地でAI関連のスタートアップが急成長していく様子を間近で見たことでした。わずか数年で市場を変え、既存産業に大きな影響を与えていく姿は衝撃で、「自分もこの変革の波に乗るべきではないか」と直感しました。

加えて、現地市場での事業戦略を議論する場面で、技術を軸にした意思決定のスピードと、プロダクト中心の企業文化に触れ、純粋に魅力を感じました。大企業の整えられた体制は魅力ですが、一方で、自分の提案が即座に反映され、仮説検証が高速で回る環境に対して、強く惹かれました。

情報収集を本格的に始めたタイミングで、AIスタートアップの経営者と出会いました。プロダクトの未来を語る熱量、顧客課題に対する執着、そして自らの意思で市場を切り拓こうとする姿勢に心を動かされ、「この環境なら自分の力を最大限活かせる」と感じました。

その後、転職市場について複数の角度から情報収集し、同時に自分のキャリア軸を言語化しました。「失敗したくない」という感情よりも、「飛び込まなかったことへの後悔が怖い」という気持ちが上回った瞬間、キャリアの方向性が定まりました。

転職活動内容

最初に取り組んだのは、自分のキャリアを徹底的に棚卸しすることでした。海外での事業立ち上げ経験、組織マネジメント、パートナー開拓、財務モデル構築、そして現場理解。強みがどこにあるのか、どうやって再現性を語れるか、言葉に落とし込みました。

転職活動は複数チャネルを併用しました。エージェントを通じてハイクラス市場の状況を把握しつつ、企業によるスカウトも受け、また、自ら有望だと感じたスタートアップには直接アプローチしました。スピードを求めるスタートアップでは、ダイレクトなやり取りが採用につながるケースも多いと感じました。

書類選考では、海外事業経験やBizDevスキルが評価されやすく、複数の企業から面談に進む機会を得ました。一方、純粋なプロダクトマネジメント専門職においては経験不足を指摘され、技術理解とプロダクト視点を補強する必要を感じました。そこで、プロダクト志向の企業に対しては、学習ロードマップを提示し、キャッチアップの意思を明確にしました。

選考が進むにつれ、面接では「どんな未来を描いているか」「何を実現したいのか」という質問が増え、自分がただ転職したいのではなく、事業を作り、加速させたいという思いがあることを改めて認識しました。

意思決定のポイント/自分の市場価値

最終的に入社を決めた企業は、AIを活用したB2B SaaSプロダクトを展開するスタートアップでした。決め手は、経営陣の姿勢と市場に対する戦略性、そして顧客理解の深さです。加えて、実現したい世界像が具体的で、「技術ありき」ではなく「課題解決ありき」の思想が自分とフィットしました。

意思決定に際して、市場価値の観点でも自己認識を深めました。海外事業×BizDev×泥臭い推進力というポジションは、ハイクラス市場で一定の需要がある一方、プロダクト起点の組織では、技術バックグラウンドの有無が判断に影響することも理解しました。だからこそ、入社後にプロダクトサイドへの理解を積極的に深めることを決めました。

複数の企業から内定をいただく中で、「自分が最も価値を発揮でき、最も伸びる環境はどこか」を軸に比較しました。その結果、裁量が大きく、実行フェーズにも深く関われる環境を選択。年収も820万円から1200万円へと上昇し、納得できる条件で新たなスタートを切りました。

意思決定の過程で、「自分のキャリアは自分で動かすもの」だと改めて実感しました。環境を選ぶ判断軸がクリアになったことで、迷いがなくなりました。

内定・転職後の変化

転職後は、事業開発責任者として、プロダクトの価値訴求から顧客開拓、パートナー戦略、CS体制構築まで、多岐にわたる役割を担っています。最初の数ヶ月は適応のフェーズで、速度感と不確実性の高さに圧倒される場面もありましたが、行動の量と質を上げることで成果が見え始めました。

ポジティブに感じるのは、意思決定の速さと、行動が即成果につながる手応えです。提案がその場で決まり、翌週には検証が進む。前職では想像できなかったスピード感で事業が動き、日々成長実感があります。

一方で、制度やプロセスが整っていない部分は正直な課題です。自分で仕組みを作り、改善を繰り返す必要があり、ストレスを感じる瞬間もあります。ただ、それは挑戦の裏返しであり、環境を“育てられる”楽しさでもあります。

今後は、国内市場でのポジション強化に加え、海外展開の可能性も視野に入れています。自分の原点でもある海外事業経験を、AI領域でも発揮し、グローバル市場で価値を作る挑戦を続けたいと考えています。

メッセージと総括

キャリアの選択に正解はありません。ただ、「自分は何にエネルギーを使いたいのか」「どんな未来を創りたいのか」を言語化することが、納得のいく意思決定につながると感じました。

転職手段については、両輪を使うことをおすすめします。
エージェントは、市場動向や企業の内情を知るのに役立ち、非公開求人や戦略的なフィードバックを得ることができます。一方、ダイレクトリクルーティングはスピード感があり、経営陣と直接会話できることで、カルチャーフィットを確認しやすいメリットがあります。

「安定と規模」を重視するなら大企業が良い選択肢です。「裁量とスピード」を求めるならスタートアップは魅力的です。どちらが正しいではなく、どちらが自分の価値観に合っているかが大切です。

私自身、転職活動を通じて、自分の強みと弱みを再整理し、将来像がよりクリアになりました。迷いがある方は、まず動き出してみることをおすすめします。行動することでしか、見えない景色があります。

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