38才で大手エレクトロニクスメーカーからAI音声スタートアップに転職して掴んだ“社会実装の現場”
今回は、大手エレクトロニクスメーカーでAI音声技術の研究開発をしていた38歳男性が、「研究成果を社会に届けたい」という思いからスタートアップに転職し、CTOとして“技術を事業に変える”挑戦を続けている事例です。研究者から経営層へ──その決断の裏側と、転職後のリアルを伺いました。
人物プロフィール
年齢:38歳
性別:男性
転職前:大手エレクトロニクスメーカー/AI音声解析研究チーム・主任研究員
転職後:AI音声分析スタートアップ/CTO(最高技術責任者)
転職前年収:1100万
転職後年収:1500万
転職動機・テーマ:技術研究から社会実装へ。“研究者”から“経営者”への進化
ざっくりまとめると
・大手エレクトロニクスメーカーのAI音声研究チームで約10年勤務
・技術を実社会で使われる形にしたいという思いが強まり転職を決意
・AI音声スタートアップにCTOとして参画
・研究成果を社会実装に結びつけ、事業成長を牽引
・年収1100万→1500万へアップ。技術×経営の橋渡し役として活躍
転職前のキャリアと悩み
「研究が“目的化”していた自分に気づいた」
AI音声解析の研究チームに在籍していた頃は、世界的なカンファレンスで論文を発表したり、新しい音声認識アルゴリズムを開発したりと、日々刺激的な仕事をしていました。ただ、研究が進むほど「自分の技術が実際に誰に使われているのか」が見えなくなっていった自分がいました。「社会実装のフェーズは別部署」「事業化は別チーム」と線引きされた環境の中で、自分の仕事が“論文を書くための研究”になってしまっている感覚があり、研究者としての充実感はあるけれど、社会との距離を感じていました。
転職を意識したきっかけ
「研究成果がスタートアップで“使われていた”」
あるとき、外部カンファレンスで登壇した際、登壇後に1社のスタートアップCEOが話しかけてきました。「先生の研究をベースに、うちのAI音声プロダクトを作っています」。驚きと同時に、強い衝撃を受けました。自分が所属する大企業ではまだ実証段階の技術が、小さなスタートアップではすでに実装され、ユーザーに届けられていたのです。「研究は目的ではなく、手段のはずだ」そう気づいた瞬間、研究者から“事業を動かす側”に立ちたいという気持ちが強くなっていきました。
転職活動内容
「エージェント+直接アプローチのハイブリッド戦略」
転職活動はエージェント経由で始めました。大手IT企業や研究開発部門からのオファーも多かったのですが、最終的に求めていたのは「技術を活かして事業を動かせる環境」。一方、自分でもスタートアップをリサーチし、AI音声解析を応用して医療・教育・接客分野を変革している企業を複数ピックアップしました。その中の1社から「技術責任者として事業開発にも関わってほしい」とオファーを受け、面談を重ねるうちに経営層としての参加を決意しました。
意思決定のポイント/自分の市場価値
「自分の価値は“研究と実装の橋渡し”」
選考を通じて痛感したのは、AIの研究成果を“使えるプロダクト”に転換できる人材が非常に少ないということ。私のようにアルゴリズムを理解しながらビジネス視点を持つ人材は、スタートアップにとって極めて希少でした。最終的に選んだのは、医療音声データを活用したAIスタートアップ。CTOとして、プロダクトの技術設計から開発体制構築までを担うことになりました。自分の研究がリアルタイムで人の役に立つ——その手応えは何よりも大きな喜びです。
内定・転職後の変化
「技術が“社会の言語”になった」
転職してからの1年は、まさに“社会実装との格闘”でした。研究段階では完璧に動いていたモデルが、実際のデータでは精度を出せない。そんな現場の難しさと向き合いながら、日々改良を重ねています。同時に、経営会議では資金調達や事業戦略にも関わるようになり、技術を“経営の言語”に翻訳する役割を担っています。研究者時代にはなかった視点と責任の重さを感じながら、自分のキャリアが確実に次のフェーズに進んだと実感しています。
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