28歳 国民的ゲーム会社からVP of Designへ進んだ挑戦の記録

世界的なファミリー向けゲームシリーズを手がける大手ゲーム会社でUI/UXデザイナーとして活躍してきた彼女が、新たな挑戦の場として選んだのは、創業期のAIスタートアップでの「VP of Design」というポジションでした。大規模組織で培った技術やユーザー視点を、よりスピーディーに事業へ反映できる環境を求めたことが、転職活動のきっかけです。
新たな会社では、デザイン方針の策定だけでなく、採用・評価制度・組織づくりにも責任を持ち、年収も100万円アップ。ストックオプションという将来のリターンも期待でき、キャリアの幅が一気に広がりました。安定した大きな会社から一歩踏み出した彼女が感じた葛藤と成長の軌跡を、今回のインタビューで紐解きます。

人物プロフィール

年齢:28歳
性別:女性
転職前:大手ゲーム会社/UI/UXデザイナー(世界的人気タイトル担当)
転職後:AI・SaaSプロダクト系スタートアップ/VP of Design
転職前年収:580万
転職後年収:680万
転職動機・テーマ:裁量拡大・事業創造への挑戦・デザイン組織構築

ざっくりまとめると

・世界的IPを多数抱える大手ゲーム会社でUI/UXデザイナーとして従事
・大規模開発ゆえの意思決定の遅さや職域の固定化に課題を感じる
・「もっと早く提案を形にし、事業づくりに関わりたい」と思い始める
・創業1年目のAIプロダクト系スタートアップからVP of Designとしてオファー
・年収100万円アップ+ストックオプション付与
・デザイン組織の立ち上げ、戦略策定、採用まで担当
・スピード感と裁量の大きさには満足
一方で負荷やリソース不足は感じるが、成長実感が強い

転職前のキャリアと悩み

【大規模開発ゆえの“スピードの壁”と、広がらない職域へのジレンマ】

私は国内外で愛されるキャラクターIPを多数持つ大手ゲーム会社でUI/UXデザイナーとして働いていました。世界中のユーザーが触れるプロダクトに関わる誇りはありましたし、“家庭用ゲーム機の体験”をデザインする仕事は本当に魅力的でした。
しかし、長く関わる中で、「自分自身のデザインがもっと直接的に事業へ影響する仕事がしたい」と思うようになりました。

特に課題を感じていたのは“意思決定のスピード”です。関係部署が多く、調整に時間がかかるため、ユーザーテストで得た示唆が製品に反映されるまで数ヶ月かかることもありました。ユーザーの変化が早い時代において、自分の提案がリアルタイムに活かしきれていない感覚がありました。

また、キャリアの選択肢も限定的でした。UI/UXの専門性を深める道はあるものの、プロダクト戦略や組織設計など、より上流の領域に携われるチャンスは多くありません。「この環境にいる限り、職域は大きく変わらないのでは」という不安もあり、モヤモヤが積み重なっていきました。

とはいえ、安定した会社を離れる怖さも大きく、半年ほど気持ちが揺れ動いていました。環境を変えるべきか、このまま成長できるのか──毎日自問していました。

転職を意識したきっかけ

【社内異動で感じた“変化しない現実”と、外部評価が与えた転機】

転機になったのは、社内の小規模チームに異動した時でした。意思決定が早くなると思っていたものの、結局は大規模会社ならではのプロセスから抜け出せず、改善したかった点は変わらないままでした。「環境を変えなければ役割も変わらない」と強く実感しました。

また、社外コミュニティで登壇したUI/UXのプレゼンに想像以上の反響があったことも大きかったです。スライドを共有したいという依頼が届き、「自分の考え方はもっと広い領域で通用するのでは」と気づきを得ました。

この二つが重なり、本格的に転職を考え始めました。特に“デザイン組織をゼロからつくる”というミッションに興味が芽生え、創業期のスタートアップを中心に探すようになりました。

転職活動内容

【強みは“大規模開発で磨いた再現性あるプロセス設計”】

転職活動の最初は、自分のキャリア棚卸しです。大手企業のプロジェクトは規模が大きく、成果を個人の実績として語ることが難しい面があります。しかし改めて整理したことで、“デザインプロセスを構築できる能力”が自分の強みだと気づきました。

活動はエージェント・スカウト・直接応募のすべてを活用しました。特にスカウトは、ポートフォリオの構成を工夫したことで反応率が高く、創業期スタートアップからの声が多く届きました。

面接では、「どのようにデザイン組織をつくるか」という問いに対して、自分の考えと仕組み化へのアプローチを示したことで評価されました。この経験から、自分の市場価値は“デザインと組織”の両面にあると明確になっていきました。

意思決定のポイント/自分の市場価値

【選んだ理由は“事業とデザインが近い”こと】

複数社から内定をいただきましたが、最終的に選んだのは、AI×SaaS領域で創業1年目の企業でした。
決め手は「デザインが事業の中心にある環境」でした。経営陣との距離が近く、プロダクトの方向性に直接関わる機会が多かったためです。

フィット感の高かったのは“プロダクト志向でUI/UXを重視する企業”。一方、営業主導の文化が強い企業とは相性が良くありませんでした。

総合的に見て、「自分のデザインが事業の成長に直結する環境に立ちたい」という願望が、意思決定の核になりました。

内定・転職後の変化

【裁量10倍・負荷2倍。それでも“心から納得できる仕事内容”】

転職後に最も驚いたのは、意思決定の速さです。デザインの方向性を議論した翌週にはプロトタイプが動き、すぐにユーザーの反応を確かめられる。このスピード感は、大手企業では絶対に得られないものでした。

一方で、創業期ならではの課題も多く、採用・評価・業務フロー設計など、デザイナー以外の業務が増えました。しかし、「組織をつくる」経験は、私にとって大きなやりがいにつながっています。

メッセージと総括

【大企業・スタートアップのどちらが正解でもない。選択が“キャリアの資産”になる】

大企業の安定も、スタートアップの自由度も、どちらも素晴らしい選択肢です。
大切なのは、自分が何を優先したいかを明確にすることだと思います。

転職エージェントは客観的な整理と非公開求人に強く、ダイレクトリクルーティングはスピーディで、ありのままの自分を評価してもらいやすい。私は両方を使って良かったと感じています。

迷っている方には、「環境を変えることそのものがスキルになる」と伝えたいです。どちらを選んでも、選んだ先でどう動くかがキャリアをつくると実感しています。

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