37歳 CGディレクターからアート統括部長へ踏み出した決断

家庭用ゲームで知られる大手ゲーム企業でCGディレクターとして活躍してきた彼が、次のステージとして選んだのは、競合ゲーム会社での「アート統括部長」でした。長年、大規模タイトルのグラフィック統括を担いながらも、部門横断の意思決定や事業視点に踏み込めないもどかしさを感じていたといいます。「アートを通じて事業の方向性をつくりたい」──その思いが転職の原動力でした。

新天地では、開発ラインだけでなくライブ運営型タイトルも統括し、ビジュアル戦略・プロダクト方針・外部パートナー管理までを一貫して主導。年収は据え置きのまま、裁量と責任範囲が大幅に拡大し、クリエイティブと経営をつなぐ役割へと進化しています。本事例では、クリエイティブリーダーが“事業を動かす立場”へ踏み出したリアルな軌跡を紹介します。

人物プロフィール

年齢:37歳
性別:男性
転職前:大手ゲーム会社/CGディレクター(家庭用タイトルのグラフィック統括)
転職後:競合ゲーム会社/アート統括部長(マルチデバイス対応・ライブ運営型タイトル統括)
転職前年収:1000万
転職後年収:1000万
転職動機・テーマ:裁量拡大・意思決定領域を広げたい・事業影響を持つ立場で動きたい

ざっくりまとめると

・家庭用ゲーム機向けタイトルを多数手がける大手ゲーム会社でCGディレクターとして活躍
・クリエイティブリードはできるが事業視点の裁量に限界を感じ転職を決意
・競合ゲーム会社のアート統括部長として迎えられ、意思決定領域が大幅に拡大
・年収1000万維持だが裁量は倍増し、事業・組織設計にも深く関与

転職前のキャリアと悩み

【大規模組織の“壁”と、アートディレクションの限界】

私は家庭用ゲーム機向けタイトルを中心に展開する大手ゲーム会社で、CGディレクターとして複数の大型タイトルのビジュアル面を統括してきました。キャラクター、背景、エフェクト、世界観構築など、多くの領域に関与し、国内外で評価される作品づくりの一端を担えたことは大きな誇りでした。

しかし、年次が上がり裁量が増える一方で、同時に強く感じ始めたのが「最終的な意思決定が自分の手を離れる」ということでした。アート方針は提案できても、事業判断や社内政治的な要素により方向が変わることも多く、クリエイティブと事業の間に壁を感じていました。

また、プロジェクトの規模が大きく、関係部署も多いため、ビジュアルの変更一つを進めるにも膨大な調整が必要です。判断スピードの遅さは改善しづらく、「もっと早く、もっと深くプロダクトに関われる環境はないのか」と考えるようになりました。

加えて、人材育成の比重が増えたことも一つのきっかけです。もちろん育成は重要ですが、アートの方向性を決めるよりも管理業務が増え、自分の得意領域を十分に活かしきれていない感覚がありました。「このままでは事業に対する影響範囲が広がらない」という焦りも生まれました。

安定性や待遇を考えると簡単に辞める選択ではありませんでしたが、「もっと広い裁量を得て、アートと事業の両面からプロダクトを動かしたい」という思いが徐々に強くなっていきました。

転職を意識したきっかけ

【役割拡大のチャンスが“限界”を気づかせた】

転機となったのは、新規プロジェクトの立ち上げメンバーとして参画したことでした。私はCGディレクターとしてアート面の方向性づくりを任され、初期段階からビジュアル全体を構築していく醍醐味を感じていました。

しかし、プロジェクトが進むにつれ、アート以外の領域──マーケティング・運営方針・展開国・タイトル戦略──は別部署で決まっていき、アートの影響力は限定的であることを痛感しました。「アートは重要と言われながら、事業方針に関わるテーブルには座れない」。この構造に大きな危機感を覚えました。

そんな時、業界内の知人から「競合企業がアート統括部長を探している」という話が入りました。そこではアート方針だけでなく、事業計画段階からクリエイティブを統合し、開発・運営のロードマップにも関わるポジションだと聞きました。

「アートが事業そのものに直結する環境」──その言葉が胸に刺さり、この機会を逃すべきではないと感じ、転職を現実的に考え始めました。

転職活動内容

【“部門間をつなぐ人材”としての価値を再定義】

転職活動でまず行ったのは、これまでの実績を「制作の成果」ではなく「事業視点の貢献」に言い換えることでした。
- 部門間連携や外部パートナー管理
- ライブサービス運営でのビジュアル改善
- 若手育成と体制設計
これらをすべてポートフォリオに再構成しました。

活動チャネルはエージェント・スカウト・直接応募すべて併用。特にスカウトでは「アート組織を立て直したい」企業からの声が多く、自分の市場価値が“制作のプロ”ではなく“事業も動かす人材”として評価されていることを実感しました。

意思決定のポイント/自分の市場価値

【“事業判断にアートを組み込める環境”を選んだ】

最終的に選んだのは競合ゲーム会社のアート統括部長でした。
理由は3つ。

1. アートの意見が事業計画に直結する
2. ライブ運営領域にも深く関われる
3. 経営層と直接ディスカッションできる文化

書類通過率が高かったのは「制作×組織運営」の両輪で語れる企業で、純制作特化の企業とはミスマッチでした。

最終的に、自分の市場価値は “制作ではなく、アートと事業をつなぐ人材”であると理解し、この企業を選びました。

内定・転職後の変化

【裁量は圧倒的に拡大。責任も重いが手応えは大きい】

転職後、最も大きな変化は「自分の判断が事業に影響する」感覚です。アート統括部長として、
- ビジュアル戦略
- 外部パートナー管理
- 組織再構築
- 採用と育成
- 予算判断
などが自分の責任範囲になりました。

プレッシャーは大きいものの、意思決定が事業に反映されるスピード感とやりがいは、大手時代では得られないものでした。

メッセージと総括

【裁量を求めるなら“座るテーブル”を変える勇気が必要】

大手ゲーム会社で経験を積むことは価値がある一方で、「どこまで影響を与えたいか」を考えることが重要です。

エージェントは客観視が強く、ダイレクトリクルーティングは思想で勝負できます。両方を使ったことで、自分が事業に直結するポジションに出会えました。

裁量を求めるなら、“どんな意思決定を自分がしたいのか”を明確にし、座るテーブルを選ぶべきだと感じています。

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